電験三種 R3年 法規 問11 問題と解説

 問 題     

図のように既設の高圧架空電線路から、高圧架空電線を高低差なく径間30m延長することにした。

新設支持物にA種鉄筋コンクリート柱を使用し、引留支持物とするため支線を電線路の延長方向4mの地点に図のように設ける。電線と支線の支持物への取付け高さはともに8mであるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 電線の水平張力が15kNであり、その張力を支線で全て支えるものとしたとき、支線に生じる引張荷重の値[kN]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 7
  2. 15
  3. 30
  4. 34
  5. 67

(b) 支線の安全率を1.5とした場合、支線の最少素線条数として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、支線の素線には、直径2.9mmの亜鉛めっき鋼より線(引張強さ1.23kN/mm2)を使用し、素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。

  1. 3
  2. 5
  3. 7
  4. 9
  5. 19

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(3)

 解 説    

(a)

電線の水平張力が15[kN]なので、支線が支える水平成分の張力も15[kN]となります。支線と支持物、地面からなる三角形は直角三角形であり、その縦横比は8[m]:4[m]=2:1です。よって、支線に掛かる張力は以下の図から三平方の定理を使うと計算することができます。

よって、支線に生じる引張荷重は33.5[kN]なので、正解は(4)です。

(b)

設問(a)で支線に生じる引張荷重は33.5[kN]だとわかりましたが、ここでは支線の安全率を1.5とするため、想定される引張荷重は以下の通りです。

ここで、素線1条は直径が2.9[mm]で引張強さが1.23[kN/mm2]なので、素線1条分は引張強さは次のように計算できます。

よって、素線1条分の引張強さが8.12[kN]であり、これを複数より合わせることで50.25[kN]に耐えられるようにすればよいので、その素線条数は計算上、次のようになります。

以上から計算上は約6.2条あればよいのですが、条数は整数であるため、6.2以上の最小の整数である7条が必要です。よって、支線の最少素線条数は7なので、正解は(3)となります。

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