電験三種 R2年 電力 問11 問題と解説

 問 題     

我が国における架空送電線路と比較した地中送電線路の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 地中送電線路は、同じ送電容量の架空送電線路と比較して建設費が高いが、都市部においては保安や景観などの点から地中送電線路が採用される傾向にある。
  2. 地中送電線路は、架空送電線路と比較して気象現象に起因した事故が少なく、近傍の通信線に与える静電誘導、電磁誘導の影響も少ない。
  3. 地中送電線路は、同じ送電電圧の架空送電線路と比較して、作用インダクタンスは小さく、作用静電容量が大きいため、充電電流が大きくなる。
  4. 地中送電線路の電力損失では、誘電体損とシース損を考慮するが、コロナ損は考慮しない。一方、架空送電線路の電力損失では、コロナ損を考慮するが、誘電体損とシース損は考慮しない。
  5. 絶縁破壊事故が発生した場合、架空送電線路では自然に絶縁回復することは稀であるが、地中送電線路では自然に絶縁回復して再送電できる場合が多い。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(5)の記述は「架空送電線路」と「地中送電線路」の説明が反対になっているため、これが正解となります。

架空送電線路の場合、絶縁破壊事故の多くは落雷による気中フラッシオーバに起因します。そのため、事故区間を高速に遮断し、フラッシオーバを消滅させれば、絶縁は回復し、架空送電線は通電可能な状態と戻ります。

一方、地中送電線路の場合は、落雷が問題とならないので絶縁破壊事故のリスクは下がりますが、もし起きてしまったときには、自然回復がほとんど見込めません。さらに、修復作業も地上で行うのに比べて作業性が悪くなるため、復旧に時間や手間が掛かるのも難点です。

地中送電線路にはこのようなデメリットもありますが、架空送電線路と比較して優れたメリットも数多く持っているため、都市部を中心に、年々地中送電線路は増加傾向にあります。

以上から、正解は(5)です。

ちなみに、(1)~(4)も地中送電線路の重要な特徴が書かれているので、これらの内容についても併せて確認しておいてください。

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