電験三種 R1年 法規 問10 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電力の需給に関する記述である。

電気は( ア )とが同時的であるため、不断の供給を使命とする電気事業においては、常に変動する需要に対処しうる供給力を準備しなければならない。

しかし、発電設備は事故発生の可能性があり、また、水力発電所の供給力は河川流量の豊渇水による影響で変化する。一方、太陽光発電、風力発電などの供給力は天候により変化する。さらに、原子力発電所や火力発電所も定期検査などの補修作業のため一定期間の停止を必要とする。このように供給力は変動する要因が多い。他方、需要も予想と異なるおそれもある。

したがって、不断の供給を維持するためには、想定される( イ )に見合う供給力を保有することに加え、常に適量の( ウ )を保持しなければならない。

電気事業法に基づき設立された電力広域的運営推進機関は毎年、各供給区域(エリア)及び全国の供給力について需給バランス評価を行い、この評価を踏まえてその後の需給の状況を監視し、対策の実施状況を確認する役割を担っている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)     (イ)      (ウ)
  1. 発生と消費  最大電力   送電容量
  2. 発電と蓄電  使用電力量  送電容量
  3. 発生と消費  最大電力   供給予備力
  4. 発電と蓄電  使用電力量  供給予備力
  5. 発生と消費  使用電力量  供給予備力

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

( ア )に関して、電気は基本的には発生と消費が同時的です。蓄電池のような設備を使えばある程度は電気を蓄えておくこともできますが、蓄電設備が広く普及しているわけではないので、一般的には発生と消費が同時的であると考えます。

よって、( ア )には「発生と消費」が入ります。

( イ )には「最大電力」か「使用電力量」が入ります。( ア )で答えたように電気は発生と消費が同時的なので、電気の需要と供給のバランスを考える際には、電力量[J]ではなく、時間あたりの電力量である電力[W]がポイントになってきます。

つまり、昼間にたくさんの電力量を発電して夜間に全然発電しなかった場合、夜間に使用できる電気がなくなってしまうので、これでは不都合が生じます。

よって、1日のうちのどのタイミングが最も電気を使うかを考慮して、その最大電力に見合う供給能力を保有することが重要となってきます。

こう考えると、( イ )には「最大電力」を入れるのが適切であると判断できます。

( ウ )に関して、電気の不断の供給のためには、想定される最大電力にぴったり合わせて発電するのでは不充分です。各家庭の電気の使用状況は完全にコントロールできるものではなく、ある程度の変動があるものなので、いくらかの余裕を持って発電する必要があります。

よって、( ウ )には「供給予備力」を選ぶのが妥当です。

以上から、正解は(3)となります。

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