電験三種 R1年 法規 問6 問題と解説

 問 題     

次の文章は、接地工事に関する工事例である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が80Ωであったので、C種接地工事を省略した。
  2. D種接地工事の接地抵抗値を測定したところ1200Ωであったので、低圧電路において地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設することとした。
  3. D種接地工事に使用する接地線に直径1.2mmの軟銅線を使用した。
  4. 鉄骨造の建物において、当該建物の鉄骨を、D種接地工事の接地極に使用するため、建物の鉄骨の一部を地中に埋設するとともに、等電位ボンディングを施した。
  5. 地中に埋設され、かつ、大地との間の電気抵抗値が5Ω以下の値を保っている金属製水道管路を、C種接地工事の接地極に使用した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は誤りです。

C種接地工事の接地抵抗値は、10[Ω]以下であることが定められています。よって、もともとの電気抵抗値が10[Ω]以下であればC種接地工事をする必要がありませんが、今回は80[Ω]とのことなので、省略することは認められません。

ちなみに、(2)とも関連しますが、低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、C種接地工事の接地抵抗値は500[Ω]以下であればよいことになっています。

(2)も誤りです。

D種接地工事の接地抵抗値は、基本的には100[Ω]以下であることが定められています。ただし、C種接地工事と同様、低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500[Ω]以下であればよいことになっています。

(2)では接地抵抗値が1200[Ω]とあるので、遮断装置を設けたとしても対応として不充分です。

(3)も誤りです。

D種接地工事に用いる接地線は、引張強さ0.39[kN]以上の難腐食性の金属線か、直径1.6[mm]以上の軟銅線を使います。よって、(3)のように1.2[mm]では細すぎます。ちなみに、C種接地工事の場合も全く同じことがいえるので、併せて押さえておいてください。

(4)の文章には数値は出てきませんが、特におかしい点のない文章であり、これが正解の選択肢となります。

(5)も誤りです。

昔は金属製水道管路を接地極として用いることのできる規定がありましたが、今では金属製水道管路を接地極として使用することは認められていません。これは、金属製水道管路を使うと漏洩電流による配管の腐食が問題となることや、樹脂製水道管路が普及したことなどの理由によるものです。

以上から、正解は(4)となります。

なお、各種の接地工事に関して覚えておきたい数値などを接地工事(A種~D種)のページにまとめてあります。ぜひ、参考にしてください。

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