電験三種 H30年 理論 問16 問題と解説

 問 題     

エミッタホロワ回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図1の回路でVCC=10V、R1=18kΩ、R2=82kΩとする。動作点におけるエミッタ電流を1mAとしたい。抵抗REの値[kΩ]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、動作点において、ベース電流はR2を流れる直流電流より十分小さく無視できるものとし、ベース-エミッタ間電圧は0.7Vとする。

  1. 1.3
  2. 3.0
  3. 7.5
  4. 13
  5. 75

(b) 図2は、エミッタホロワ回路の交流等価回路である。ただし、使用する周波数において図1の二つのコンデンサのインピーダンスが十分に小さい場合を考えている。

ここで、hie=2.5kΩ、hfe=100であり、REは小問(a)で求めた値とする。入力インピーダンスの値[kΩ]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、viとiiはそれぞれ図2に示す入力電圧と入力電流である。

  1. 2.5
  2. 15
  3. 80
  4. 300
  5. 750

 

 

 

 

 

正解 (a)-(3), (b)-(2)

 解 説    

(a)

問題文で与えられた条件を図1に書き込むと、下図のようになります。

求めたいのはREですが、図から、REの端子間電圧と0.7[V]の和がR2の端子間電圧と一致することがわかります。よって、まずはR2の端子間電圧を求めます。

R1の端子間電圧とR2の端子間電圧の和がVCC=10[V]であるため、R2の端子間電圧VR2は以下のように計算することができます。

よって、次のように計算することでREを導出できます。

なお、本来であればオームの法則を使う際には抵抗の単位を[kΩ]から[Ω]に変換しておくべきです。しかし、今回は電流の単位が[mA]になっているため、抵抗[kΩ]と電流の[mA]の積がちょうど[V]となるので、そのままでも問題なく計算を進めることができます。

もちろん、このやり方に違和感を覚えるのであれば、一度[kΩ]を[Ω]に変えてから計算をしても全く構いません。

(b)

図2に描かれている「◯に横線」は電流源の記号です。電流源を流れる電流はhfeib[A]で表されます。今回はhfe=100なので、抵抗REには左上から電流ibが、右上から電流100ibが流れ込むため、ここには計101ib[A]の電流が流れることになります。

これを踏まえて図2の回路図を描き換えると、以下のような回路図となります。

求めたいのはですが、上図のうち未知数はvi、ii、ibの3つだけなので、どうにか2つの等式を作って連立方程式を解けば、ibを消せるので答えとなる比を求めることができそうです。

2つの等式の立て方はいくつかのパターンが考えられますが、ここでは単純そうなものを選んで紹介します。

まず、上図回路の右側にある2つの抵抗に注目してください。hieを流れる電流はibで、REを流れる電流は101ibです。そして両方の抵抗を合わせた端子間電圧は電源電圧のviとなります。よって、以下の等式が成り立ちます。

上式に対し、わかっている数値を代入していくと次のように計算できます。(a)のときと同様、電流の単位は[mA]、抵抗の単位は[kΩ]として考えることで、いちいち×10-3などを入れなくて済みます。

続いて、上図回路の中央に注目してください。ここの抵抗も端子間電圧は電源電圧のviとなります。よって、以下の等式が成り立ちます。

ここでも先程と同じように、できるだけ数値を代入して整理します。

ここで、(1)式を(2)式に代入することで、ibを消します。

あとは求めたいに合うような形で式変形を行えば、答えを出すことができます。

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