電験三種 H30年 法規 問4 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電気使用場所における異常時の保護対策の工事例である。その内容として、「電気設備技術基準」に基づき、不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路において、適切な箇所に開閉器を施設したが、当該電路における短絡事故により過電流が生じるおそれがないので、過電流遮断器を施設しなかった。
  2. 出退表示灯の損傷が公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがある場合、その出退表示灯に電気を供給する電路に、過電流遮断器を施設しなかった。
  3. 屋内に施設する出力100Wの電動機に、過電流遮断器を施設しなかった。
  4. プール用水中照明灯に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。
  5. 高圧の移動電線に電気を供給する電路に、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器を施設した。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

この問題は「電気設備技術基準」第63~66条からの出題ですが、条文の内容を押さえていなくても、選択肢の文章を注意深く読んでいけば、簡単に正解できます。

…というのも、(2)の文章を要約すると、「安全に支障がありそうだけど、何もしなかった」との旨が書かれています。これはさすがに不適切なので、(2)が正解となります。


試験本番ではこのような判断で充分だと思いますが、参考のため、以下でもう少し具体的に解説していきます。

(1)は記述の通りです。「低圧幹線」や「低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路」の保護措置として、開閉器は必須です。しかし、過電流遮断器については過電流が生じるおそれがない場合には施設しなくてもよいことになっています。

(2)について、(1)では過電流遮断器が必須ではありませんでしたが、(2)のように「交通信号灯、出退表示灯その他のその損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるものに電気を供給する電路」の場合、過電流遮断器の施設が必須となります。

ただし、これはややマイナーな知識であるため、知識問題として扱うよりも、上記の解説の通り、常識的に明らかにおかしい…という判断で選べばよいと思います。

(3)は正しいです。100Wや200W程度では事故につながる危険性は低いので、過電流遮断器は必要ありません。200Wを超える場合には原則として必要となりますが、過電流が生じるおそれがない場合には不要です。

(4)も正しいです。水中で使われる照明につながっていることや、プールは一般人が多く利用することなどから、感電などの危険がないように適切な措置が求められます。

(5)も正しい記述です。高圧の移動電線に電気を供給する電路には地絡遮断器の施設が求められます。ちなみに、ここには書かれていませんが、過電流遮断器も施設しなければいけません。

コメント