電験三種 H30年 法規 問2 問題と解説

 問 題     

次のaからdの文章は、太陽電池発電所等の設置についての記述である。「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 低圧で受電し、既設の発電設備のない需要家の構内に、出力20kWの太陽電池発電設備を設置する者は、電気主任技術者を選任しなければならない。
  2. 高圧で受電する工場等を新設する際に、その受電場所と同一の構内に設置する他の電気工作物と電気的に接続する出力40kWの太陽電池発電設備を設置する場合、これらの電気工作物全体の設置者は、当該発電設備も対象とした保安規程を経済産業大臣に届け出なければならない。
  3. 出力1000kWの太陽電池発電所を設置する者は、当該発電所が技術基準に適合することについて自ら確認し、使用の開始前に、その結果を経済産業大臣に届け出なければならない。
  4. 出力2000kWの太陽電池発電所を設置する者は、その工事の計画について経済産業大臣の認可を受けなければならない。

    a    b     c    d

  1. 適切   適切   不適切  不適切
  2. 適切   不適切  適切   適切
  3. 不適切  適切   適切   不適切
  4. 不適切  不適切  適切   不適切
  5. 適切   不適切  不適切  適切

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この問題は、従来の出題傾向から考えるとやや細かい知識が問われているように感じます。しかし、太陽電池発電は近年注目度が上がってきているので、今後も出題される可能性は充分あると思われます。そのため、具体的な数値をできるだけ正確に押さえておきたいところです。

aについて、発電設備を設置する際には電気主任技術者の選任が必要となりますが、小出力発電設備の場合には選任が求められていません。

小出力発電設備とは、以下のような出力の小さい発電設備のことです。

  • 太陽電池発電設備:出力50[kW]未満
  • 風力発電設備:出力20[kW]未満
  • 水力発電設備:出力20[kW]未満、かつ、最大使用水量が1[m3/s]
  • 内燃力を原動力とする火力発電設備:出力10[kW]未満
  • 燃料電池発電設備:出力10[kW]未満

よって、出力20kWの太陽電池発電設備は小出力発電設備に該当するので、電気主任技術者の選任は不要です。つまり、aの記述は「不適切」です。

bについて、出力40kWの太陽電池発電設備というところだけを読むと小出力発電設備に思えますが、同一の構内に高圧で受電する工場を置く場合には、両者を合算して考えることになります。

よって、保安規程から太陽電池発電設備の部分だけ除外するといったことはできません。つまり、bの文章は「適切」です。

cについて、出力500kW以上2000kW未満の太陽電池発電設備を設置する際には、使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を経済産業大臣に届け出る義務があります。

今回は出力1000kWの話なので、cの文章は「適切」です。

dについて、出力2000kW以上の太陽電池発電設備を設置する際には、工事を行う前に工事計画を届け出る必要があります。認可が必要なわけではなく、必要書類をそろえて提出すればよいので、aの記述は「不適切」です。

以上から、正解は(3)となります。

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