電験三種 H29年 機械 問3 問題と解説

 問 題     

次の文章は、誘導機に関する記述である。

誘導機の二次入力は( ア )とも呼ばれ、トルクに比例する。二次入力における機械出力と二次銅損の比は、誘導機の滑りをsとして( イ )の関係にある。この関係を用いると、二次銅損は常に正であることから、sが-1から0の間の値をとるとき機械出力は( ウ )となり、誘導機は( エ )として運転される。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)      (イ)   (ウ)  (エ)

  1. 同期ワット   (1-s):s  負  発電機
  2. 同期ワット   (1+s):s  負  発電機
  3. トルクワット  (1+s):s  正  電動機
  4. 同期ワット   (1-s):s  負  電動機
  5. トルクワット  (1-s):s  正  電動機

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )について、誘導機の二次入力のことを「同期ワット」ということもあります。…とはいえ、これは頻出用語とは言い難いので、知らなくても仕方ないと思います。

一方で、( イ )、( ウ )、( エ )は重要事項であり、こちらを正確に答えることができれば、正解の選択肢はひとつに絞ることができます。

( イ )に関して、誘導電動機が滑りsで運転しているとき、二次銅損Pc2[W]の値は、二次入力P2[W]のs倍となります。また、二次入力P2から二次銅損Pc2を引いた値が、機械出力Pm[W]となります。つまり、Pmは以下のように表すことができます。

よって、( イ )の比の計算は以下のようになります。

( ウ )について、( イ )のところで解説した通り、二次銅損はsP2、機械出力は(1-s)P2で表されます。

問題文にもあるように、二次銅損(=sP2)は常に正ですが(もし損失が負なら、使えば使うほどエネルギーが生まれる夢の話になってしまいます)、sが負(-1~0)ということは、P2も負であるということです。

これを元に機械出力(=(1-s)P2)について考えると、(1-s)は正、P2は負なので、その積は「負」となり、これが( ウ )の答えです。

( エ )について、繰り返しになりますが、機械出力Pm[W]は二次入力P2を使って以下の式で表されます。

よって、sが負なら、二次入力よりも機械出力のエネルギーが大きいということになります。つまり、これは元の状態より電力が増えているので「発電機」であることがわかります。

一方でsが正の場合は、誘導機は電動機として働きます。

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