電験三種 H29年 法規 問1 問題と解説

 問 題     

次の文章は「電気事業法」における事業用電気工作物の技術基準への適合に関する記述の一部である。

  1. 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように( ア )しなければならない。
  2. 上記aの主務省令で定める技術基準では、次に掲げるところによらなければならない。
    1. 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
    2. 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は( イ )的な障害を与えないようにすること。
    3. 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
    4. 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
  3. 主務大臣は、事業用電気工作物が上記aの主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を( ウ )すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)   (ウ)

  1. 設置  磁気  一時停止
  2. 維持  熱   禁止
  3. 設置  熱   禁止
  4. 維持  磁気  一時停止
  5. 設置  熱   一時停止

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問題文は、電気事業法からの出題で、aの文章は第39条1項、bは第39条2項、cは第40条です。この項の本文は以下の通りとなります。

第三九条

  1. 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
  2. 前項の主務省令は、次に掲げるところによらなければならない。
    1. 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
    2. 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
    3. 事業用電気工作物の損壊により一般電気事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
    4. 事業用電気工作物が一般電気事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般電気事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。

第四〇条

主務大臣は、事業用電気工作物が前条第一項の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

もちろんこの条文を知っていれば正解することができますが、そうでなくても、選択肢からある程度推測していくことが可能です。

まず、( ア )には「設置」または「維持」が入りますが、事業用電気工作物を設置する者は、設置時だけにきちんとしたものが求められるのではなく、その後も安全な運用を続けなくてはなりません。よって、( ア )には「維持」を入れるのが妥当であると判断できます。

( イ )について、「磁気」でも「熱」でも機器に障害を与えそうな感じがしますが、その直前に「電気的」とあるのがポイントです。電磁気という言葉があるように、電気と磁気は並列に扱われることが多く、「電気的または磁気的」がひとつの定型句のようになっています。

また、熱によるダメージは物損につながるので、「熱的な障害」という言い回しではなく、「熱による損傷」のようになると思います(つまり、熱の影響は問題文bの1.に該当します)。

よって、( イ )には「磁気」が入ります。

( ウ )に関して、ここに「禁止」を入れてしまうと、そのあとの「その使用を制限する」と意味が重なってしまいます。

また、ここの文章では「修理、改造、移転、使用を( ウ )、制限」…と、段々求められることが厳しくなっていることからも、「一時停止」を入れるのが妥当であるとわかります。

以上から、「維持」、「磁気」、「一時停止」で(4)が正解となります。

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