電験三種 H28年 機械 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、同期電動機の特性に関する記述である。記述中の空白箇所の記号は、図中の記号と対応している。

図は同期電動機の位相特性曲線を示している。形がVの字のようになっているのでV曲線とも呼ばれている。横軸は( ア )、縦軸は( イ )で、負荷が増加するにつれ曲線は上側へ移動する。

図中の破線は、各負荷における力率( ウ )の動作点を結んだ線であり、この破線の左側の領域は( エ )力率、右側の領域は( オ )力率の領域である。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)    (イ)  (ウ) (エ) (オ)

  1. 電機子電流 界磁電流  1 遅れ 進み
  2. 界磁電流  電機子電流 1 遅れ 進み
  3. 界磁電流  電機子電流 1 進み 遅れ
  4. 電機子電流 界磁電流  0 進み 遅れ
  5. 界磁電流  電機子電流 0 遅れ 進み

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

同期電動機において重要な特性曲線は、問題文にもある通り「V曲線」と呼ばれていて、その軌跡は次のようになります。

V曲線は、電圧一定の電源に接続した出力一定の同期電動機に対する、界磁電流と電機子電流の関係を表しています。界磁電流を徐々に減少(または増加)させると、上図のように電機子電流は初めのうちは下がっていき、途中からは一転して上がります。

結果的にV字のような軌跡を描くことから、同期電動機の特性曲線であるこのグラフはV曲線と呼ばれています。よって、( ア )には「界磁電流」が、( イ )には「電機子電流」が入ります。

また、同期電動機では、界磁電流を増減することによって入力電力の力率を変えることができます。

出力が一定の同期電動機は、界磁電流を減らしていくと(横軸右端から中央に寄せていくと)V曲線に沿って電機子電流が減少していき、力率1のときに電機子電流が最小になります。よって、( ウ )には「1」が入ります。

そして、界磁電流が大きいときは逆起電力が大きくなるために進み力率となり、反対に界磁電流が小さいと遅れ力率となります。よって、( エ )には「遅れ」が、( オ )には「進み」が入ります。

ちなみに、同期電動機の負荷を大きくすると、その分、界磁電流や電機子電流も大きくなります。よって、負荷が大きいと上図のV曲線はV字のままグラフの上側に移動することになります。反対に、小さい負荷のときは、V曲線が下のほうに移動します。

ただし、どのような条件でも力率1のときがそのV曲線において最小の電機子電流の値となり、その力率1の点を集めたものが、上図の点線で示した軌跡です。

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