電験三種 H28年 電力 問10 問題と解説

 問 題     

地中送電線路の故障点位置標定に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. マーレーループ法は、並行する健全相と故障相の2本のケーブルにおける一方の導体端部間にマーレーループ装置を接続し、他方の導体端部間を短絡してブリッジ回路を構成することで、ブリッジ回路の平衡条件から故障点を標定する方法である。
  2. パルスレーダ法は、故障相のケーブルにおける健全部と故障点でのサージインピーダンスの違いを利用して、故障相のケーブルの一端からパルス電圧を入力し、同位置で故障点からの反射パルスが返ってくる時間を測定することで故障点を標定する方法である。
  3. 静電容量測定法は、ケーブルの静電容量と長さが比例することを利用し、健全相と故障相のケーブルの静電容量をそれぞれ測定することで故障点を標定する方法である。
  4. 測定原理から、マーレーループ法は地絡事故に、静電容量測定法は断線事故に、パルスレーダ法は地絡事故と断線事故の双方に適用可能である。
  5. 各故障点位置標定法での測定回路で得た測定値に加えて、マーレーループ法では単位長さ当たりのケーブルの導体抵抗が、静電容量測定法ではケーブルのこう長が、パルスレーダ法ではケーブル中のパルス電圧の伝搬速度がそれぞれ与えられれば、故障点の位置標定ができる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

結論を先に示すと、(5)のマーレーループ法のところの「ケーブルの導体抵抗」が誤りで、正しくは「ケーブルの長さ」となります。

マーレーループ法は、ホイートストンブリッジの原理に基づいた故障点評定で、その概要は(1)の説明文の通りです。

上図のケーブルAの×印のところに故障が起こったとして、ここが故障点であることを見つけるために、まず図の左側のように2本のケーブル(絶縁破壊を起こしたケーブルAと、故障していないケーブルB)をマーレーループ装置でつなぎ、図の右側のように同じく2本のケーブルを接続線(導線)で接続します。

するとマーレーループ装置がブリッジの平衡条件を求め、0~1000までのある値(図ではaと表示している)をとります。

以上から、接地点が図のaのところと故障点の2点となるため、上図に対して以下のような等価回路が書けます。

この図が書けたら、あとはホイートストンブリッジの原理に従うので、平衡条件では対角線上の抵抗値の積が同じになるので、

というように計算すれば、故障点の位置を評定することができます。

以上から、測定値aに加えて必要なのは、ケーブルの長さLとなります。

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