電験三種 H28年 電力 問9 問題と解説

　問 題　　　　　

図のように、こう長5kmの三相3線式1回線の送電線路がある。この送電線路における送電端線間電圧が22200V、受電端線間電圧が22000V、負荷力率が85%(遅れ)であるとき、負荷の有効電力[kW]として、最も近いものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。

ただし、1km当たりの電線1線の抵抗は0.182Ω、リアクタンスは0.355Ωとし、その他の条件はないものとする。なお、本問では、送電端線間電圧と受電端線間電圧との位相角は小さいとして得られる近似式を用いて解答すること。

1. 568
2. 937
3. 2189
4. 3277
5. 5675

 

 

 

 

 

　解 説　　　　

これは電圧降下の問題ですが、電圧降下を求める以下の式を公式として押さえておくことが重要です。

• V_d：電圧降下[V]
• V_s：送電端電圧[V]
• V_r：受電端電圧[V]
• I：線電流[A]
• R：抵抗(電線1条あたり)[Ω]
• X：リアクタンス(電線1条あたり)[Ω]
• cosθ：負荷の力率

頻出なので、公式として覚えてしまうことをおすすめしますが、もし導出過程が気になるなら、三相3線式送電線の電圧降下のページを参照してください。上式に問題文で与えられた数値を代入して、Iについて解くと次のようになります。

(補足説明：上式で1.7085と有効数字を5つも残しているのは、解答の選択肢の有効数字が4桁なので、計算過程ではそれより多くしたいからです。とはいえ、今回は各選択肢の数値が大きく離れているので、実際にはもっと有効数字を減らして計算しても構わないと思います。)

よって、これで負荷に流れる電流と電圧がわかるので、負荷の有効電力Pを求めることができます。