電験三種 H27年 理論 問7 問題と解説

 問 題     

以下の記述で、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 直流電圧源と抵抗器、コンデンサが直列に接続された回路のコンデンサには、定常状態では電流が流れない。
  2. 直流電圧源と抵抗器、コイルが直列に接続された回路のコイルの両端の電位差は、定常状態では零である。
  3. 電線の抵抗値は、長さに比例し、断面積に反比例する。
  4. 並列に接続した二つの抵抗器R1、R2を一つの抵抗器に置き換えて考えると、合成抵抗の値はR1、R2の抵抗値の逆数の和である。
  5. 並列に接続した二つのコンデンサC1、C2を一つのコンデンサに置き換えて考えると、合成静電容量はC1、C2の静電容量の和である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)について、回路をつないだ直後は電流が流れてコンデンサに電荷が溜まっていきますが、流れる電流は徐々に小さくなっていき、定常状態に達したあとは全く流れなくなります。

(2)について、コイルの両端の電位差は、最初は大きい(=流れる電流は小さい)ですが、徐々に電位差が小さくなり(=電流が大きくなっていき)、充分な時間が経ったあとのコイルは短絡したのと同じ状態になるため、両端の電位差が0になります。

(3)について、電線の抵抗値は以下の式で表すことができます。

  • R:抵抗値[Ω]
  • ρ:抵抗率[Ω・m]
  • l:長さ[m]
  • A:断面積[m2]

よって、記述の通り長さに比例し、断面積に反比例します。また、式からではなくイメージからしても、電線が長ければ長いほど送電にロスが発生することが想像できるので、その電力損失が抵抗熱に変わったと考えることができれば、長さに比例するはずだと判断できます。

さらに、断面積が大きければ電線が太くなるので、その中を電流が通りやすくなるということが想像できるため、断面積には反比例するはずだと判断できます。

(4)について、2つ以上の抵抗が直列に並んでいる場合は、合成抵抗の値は個々の抵抗値の和となります。また、2つ以上の抵抗が並列に並んでいる場合は、合成抵抗の値の逆数が、個々の抵抗値の逆数の和になります。よって、「合成抵抗の値」が誤りで、正しくは「合成抵抗の値の逆数」となります。

(5)のコンデンサは、(4)の抵抗とは反対だと覚えておいてください。つまり、2つ以上のコンデンサが並列に並んでいる場合は、合成静電容量の値は個々の静電容量の和となります。また、直列に並んでいる場合は、合成静電容量の値の逆数が、個々の静電容量の逆数の和になります。

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