電験三種 H27年 理論 問3 問題と解説

 問 題     

次の文章は、ある強磁性体の初期磁化特性について述べたものである。

磁界の向きに強く磁化され、比透磁率μrが1よりも非常に( ア )物質を強磁性体という。まだ磁化されていない強磁性体に磁界H[A/m]を加えて磁化していくと、磁束密度B[T]は図のように変化する。よって、透磁率μ[H/m]も磁界の強さによって変化する。

図から、この強磁性体の透磁率μの最大値はおよそμmax=( イ )H/mであることが分かる。このとき、強磁性体の比透磁率はほぼμr=( ウ )である。点P以降は磁界に対する磁束密度の増加が次第に緩くなり、磁束密度はほぼ一定の値となる。この現象を( エ )という。

ただし、真空の透磁率をμ0=4πx10-7[H/m]とする。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)    (イ)    (ウ)    (エ)

  1. 大きい  7.5×10-3  6.0×103   磁気飽和
  2. 小さい  7.5×10-3  9.4×10-9  残留磁気
  3. 小さい  1.5×10-2  9.4×10-9  磁気遮へい
  4. 大きい  7.5×10-3  1.2×104   磁気飽和
  5. 大きい  1.5×10-2  1.2×104   残留磁気

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

比透磁率とは、真空の透磁率に対する透磁率の比のことです。強磁性体とは、比透磁率μrが1よりも非常に大きい物質のことを指す言葉です。ちなみに、比透磁率μrが1よりも大きい(非常にではない)場合は常磁性体、1よりも小さい場合は反磁性体といいます。

透磁率μは問題文でも与えられている通り磁束密度Bを磁界Hで割ったものなので、問題のグラフでいうとμは曲線の傾きに相当します。よって、μmaxは曲線の傾きが最大となる点でのμということになるので、(H,B)=(2×102,1.5)の点となり、

と計算できます。

比透磁率μrは最初に説明した通り、真空の透磁率μ0に対する透磁率μの比のことです。よって、今回の場合(μmaxのとき)は、

となります。

また、問題文中やグラフにあるような、曲線が頭打ちになって磁束密度はほぼ一定の値となることを「磁気飽和」といいます。

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