電験三種 H27年 電力 問4 問題と解説

 問 題     

次の文章は、原子力発電の設備概要に関する記述である。

原子力発電で多く採用されている原子炉の型式は軽水炉であり、主に加圧水型と沸騰水型に分けられるが、いずれも冷却材と( ア )に軽水を使用している。

加圧水型は、原子炉内で加熱された冷却材の沸騰を( イ )により防ぐとともに、一次冷却材ポンプで原子炉、( ウ )に冷却材を循環させる。( ウ )で熱交換を行い、タービンに送る二次系の蒸気を発生させる。

沸騰水型は、原子炉内で冷却材を加熱し、発生した蒸気を直接タービンに送るため、系統が単純になる。

それぞれに特有な設備には、加圧水型では( イ )、( ウ )、一次冷却材ポンプがあり、沸騰水型では( エ )がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)    (イ)      (ウ)     (エ)

  1. 減速材   加圧器    蒸気発生器  再循環ポンプ
  2. 減速材   蒸気発生器  加圧器    再循環ポンプ
  3. 減速材   加圧器    蒸気発生器  給水ポンプ
  4. 遮へい材  蒸気発生器  加圧器    再循環ポンプ
  5. 遮へい材  蒸気発生器  加圧器    給水ポンプ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )について、日本で稼働している原子炉の型式は、ほとんどが加圧水型か沸騰水型です。これらはいずれも、減速材と冷却材に軽水を用いています。よって、( ア )には「減速材」が入ります。ちなみに、遮へい材は放射線を通さないような材質でなくてはならないので、鉛やコンクリートが用いられます。

( イ )と( ウ )について、加圧水型の構造は以下の図のようになっています。

上図のように、加圧水型原子力発電所は循環系が2つあります。図の左半分では、最も左側に描かれている原子炉で熱を発生させ、図中央で熱交換をおこない、再び原子炉へと水が戻ります。図の右半分は、まず図中央で水が熱を受け取って蒸気に変わります。そして蒸気がタービンで仕事をして、その後復水器で水となって循環します。

よって、上図から、( イ )には「加圧器」が、( ウ )には「蒸気発生器」が入ります。

一方、沸騰水型は下図のように加圧水型と比べて単純な構造をしています。

沸騰水型の場合、その仕組みは火力発電をあまり変わりません。核分裂により熱エネルギーを得て、水を蒸気に変え、蒸気の熱と圧力でタービンを回して発電します。そして、タービンは仕事をしたあとの蒸気は復水器で水となり、再び原子炉へと戻ります。

( エ )には「再循環ポンプ」か「給水ポンプ」が入りますが、復水器から原子炉側へと水を戻すためのポンプが給水ポンプなので、これは加圧水型にも沸騰水型にも必要です。

一方、再循環ポンプは沸騰水型の模式図に記載している通り、原子炉容器内での水の循環を生み出すためのものです。これは沸騰水型にしか存在しないので、( エ )には「再循環ポンプ」が入ります。

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