電験三種 H26年 機械 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電子レンジ及び電磁波加熱に関する記述である。

一般に市販されている電子レンジには、主に( ア )の電磁波が使われている。この電磁波が電子レンジの加熱室に入れた被加熱物に照射されると、被加熱物は主に電磁波の交番電界によって被加熱物自体に生じる( イ )によって被加熱物自体が発熱し、加熱される。被加熱物が効率よく発熱するためには、被加熱物は水などの( ウ )分子を含む必要がある。

また、一般に、( イ )は電磁波の周波数に( エ )、被加熱物への電磁波の浸透深さは電磁波の周波数が高いほど( オ )。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)    (イ)    (ウ)    (エ)    (オ)

  1. 数GHz  誘電損    有極性  無関係で  小さい
  2. 数GHz  誘電損    有極性  比例し   小さい
  3. 数MHz  ジュール損  無極性  無関係で  大きい
  4. 数MHz  誘電損    無極性  比例し   大きい
  5. 数GHz  ジュール損  有極性  比例し   大きい

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )は知識問題になってしまいますが、電子レンジの周波数は2.45[GHz]なので「数GHz」が正解です。

これを知らなくても( イ )~( オ )を正しく答えられれば選択肢は1つに絞れるので構わないと思いますが、無線LANも2.4GHz帯の電波を使っているので、電子レンジと干渉しやすいという知識と関連付けると覚えやすいかもしれません(最近は5GHz帯もあり、そちらだと電子レンジと干渉し合いません)。

( イ )には「誘電損」が入ります。誘電損とは、交流電界を誘電体に加えたとき、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変わるために生じる損失のことです。ジュール損(ジュール熱)は抵抗に電流を流すと発生する熱エネルギーのことですが、電子レンジでは食品に導線をつないで電流を流したりしないので、今回は電流やジュール損は関係ありません。

水(H2O)はH-O-Hの3つの原子がまっすぐ並んでいるわけではなく、「く」の字に曲がっています。このように、点対称ではない分子のことを「極性がある分子=有極性分子」といいます。有極性分子は電子の偏りを持つため、電磁波を照射した際に振動や回転をすることで誘電損を生じ、熱が発生します。

一方、ドライアイス(CO2)はO=C=Oの3つの原子がまっすぐ並んだ点対称をしているので、無極性分子です。これは電磁波を当てても振動しないので、ドライアイスを電子レンジでチンしても、溶けずに残ったままとなります。よって、( ウ )には「有極性」が入ります。

( エ )について、上記で説明した通り、誘電損は有極性分子が振動したり回転したりすることによって、近くの分子とぶつかることで生じる摩擦熱のことです。周波数は1秒あたりの振動数のことなので、電磁波の周波数が大きければその分、分子も頻繁に振動・回転することになるので、誘電損は電磁波の周波数に比例します。よって、( エ )には「比例し」が入ります。

最後の( オ )には「小さい」が入ります。これは、紫外線が皮膚にダメージを与え、赤外線がヒーターに使われていることを知っていれば考えやすいです。可視光よりも波長の短い(=周波数が高い)電磁波が紫外線ですが、浸透深さが浅いので皮膚には影響しますが身体の奥には届きません。

一方、可視光よりも波長の長い(=周波数が低い)電磁波である赤外線は浸透深さが深いので、身体の奥まで届くためにヒーターの用途で使うことができます。よって、今回の問題では周波数が高いときのことを問われているので、浸透深さは浅く(小さく)なります。

コメント