問 題
次の文章は、照明用LED(発光ダイオード)に関する記述である。
効率の良い照明用光源としてLEDが普及してきた。LEDに順電流を流すと、LEDのpn接合部において電子とホールの( ア )が起こり、光が発生する。LEDからの光は基本的に単色光なので、LEDを使って照明用の白色光をつくるにはいくつかの方法が用いられている。
代表的な方法として、( イ )色LEDからの( イ )色光の一部を( ウ )色を発光する蛍光体に照射し、そこから得られる( ウ )色光にLEDからの( イ )色光が混ざることによって擬似白色光を発生させる方法がある。この擬似白色光のスペクトルのイメージをよく表しているのは図( エ )である。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 分離 青 青緑 A
- 再結合 赤 黄 A
- 分離 青 黄 B
- 再結合 青 黄 A
- 分離 赤 青緑 B
解 説
LEDに順電流を流したときにpn接合部で起こるのは、電子とホールの再結合による発光です。よって、(ア)には「再結合」が入りますが、この問題は(イ)~(エ)のほうが重要なので、(ア)は答えられなくても構わないと個人的には思います。
LEDで白色を光らせる方法はいくつかありますが、最も代表的なものは、青色LEDと黄色い蛍光体を合わせる方法です。2014年のノーベル物理学賞は青色LEDの発明についてでしたが、赤色LEDや緑色LEDの発明ではなく、青色LEDがノーベル賞受賞に選ばれた理由の一つに、実用性の高さ(つまり白色光が作りやすいこと)が挙げられます。
よって、(イ)には「青」が入り、(ウ)には青色の補色である「黄」が入ります。理屈の上では、赤色LEDと、赤色の補色である緑色の蛍光体などの組み合わせでも白色光ができるはずですが、実際にやってみると綺麗な白にならず、色味の調整が青色LEDに比べて難しいようです。
また、(エ)は図Aか図Bかの2択ですが、まず、LEDはスペクトルの幅が狭いのが特徴的です。よって、図AではLED部分が450nmくらい、図Bでは700nm弱なので、(エ)は図Aがふさわしいと判断できます(紫外線の波長は短く赤外線の波長は長いため、青色の波長は真ん中よりも短い側にあります)。
ちなみに、図Aの600nmあたりにある幅広いスペクトルが、黄色の蛍光体のスペクトルに相当します。
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