問 題
電動機ではずみ車を加速して、運動エネルギーを蓄えることを考える。
まず、加速するための電動機のトルクを考える。加速途中の電動機の回転速度をN[min-1]とすると、そのときの毎秒の回転速度n[s-1]は①式で表される。
( ア ) …①
この回転速度n[s-1]から②式で角速度ω[rad/s]を求めることができる。
( イ ) …②
このときの電動機が1秒間にする仕事、すなわち出力をP[W]とすると、トルクT[N・m]は③式となる。
( ウ ) …③
③式のトルクによってはずみ車を加速する。電動機が出力し続けて加速している間、この分のエネルギーがはずみ車に注入される。電動機に直結するはずみ車の慣性モーメントをI[kg・m2]として、加速が完了したときの電動機の角速度をω0[rad/s]とすると、このはずみ車に蓄えられている運動エネルギーE[J]は④式となる。
( エ ) …④
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
解 説
( ア )は、回転速度の単位を「毎分あたり」から「毎秒あたり」に直せばよいのですが、1分間の回転数Nは1秒間の回転数nの60倍なので、( ア )は以下のようになります。
また、角速度ωとは、1秒間に何[rad]回転するかという尺度なので、2π[rad](=360°)に回転数nを掛ければよく、( イ )は次のように表すことができます。
出力Pを表す式は色々な書き方がありますが、そのうち重要なものの一つに「角速度ωとトルクTの積」というものがあります。これは公式として覚えておくと便利です。よって、( ウ )には以下の式が入ります。
( エ )に入るのは1/2I2ω0か1/2Iω02かですが、エネルギーの単位[J]をSI単位系で表すと[kg・m2/s2]であることを知っていれば、慣性モーメントI[kg・m2]と角速度ω0[rad/s]から、後者が正解であるとわかります([rad]に関しては、そのSI単位が[m/m]なので、実質的に単位なしと同じ扱いをすることができます)。
しかし、はずみ車の運動エネルギーは計算問題などでもよく使うことがあるので、SI単位から推測するのではなく、以下の式を公式として身につけておいたほうが良いと思います。
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