電験三種 H25年 機械 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、下図に示すような平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流回路に関する記述である。

図の回路において、平滑コンデンサの電流iCは、交流電流isを整流した電流と負荷に供給する電流idとの差となり、電圧vdは( ア )波形となる。この平滑コンデンサをもつ整流回路は、負荷側からみると直流の( イ )として動作する。

交流電源は、負荷インピーダンスに比べ電源インピーダンスが非常に小さいことが一般的であるので、通常の用途では交流の( ウ )として扱われる。この回路の交流電流isは、正負の( エ )波形となる。これに対して、図には示していないが、リアクトルを交流電源と整流回路との間に挿入するなどして、波形を改善することが多い。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)      (イ)   (ウ)    (エ)

  1. 脈動する     電圧源  電圧源  パルス状の
  2. 正負に反転する  電流源  電圧源  パルス状の
  3. 脈動する     電圧源  電圧源  ほぼ方形波の
  4. 正負に反転する  電圧源  電流源  パルス状の
  5. 正負に反転する  電流源  電流源  ほぼ方形波の

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

この問題のように4つのダイオードが並んでいる回路では、斜めに位置する2つを同時に動かします。つまり、動作のパターンとしては以下の3つが挙げられます。

  • 左上と右下のダイオード:ON / 右上と左下のダイオード:OFF
  • 左上と右下のダイオード:OFF / 右上と左下のダイオード:ON
  • 全てのダイオード:OFF

上記3パターンのそれぞれの電流の流れは以下の図のようになります。

よって、上2つのときには平滑コンデンサは充電され、3つ目の図(ダイオードが全てOFF)のときは、平滑コンデンサが放電していることがわかります。

以上から、平滑コンデンサは、充電→放電→充電→放電→…と繰り返すので、( ア )は「脈動する」となります。また、負荷からみると、負荷の両端の電圧が一定になるように平滑コンデンサが動作しているので、( イ )には「電圧源」が入ります。

続いて( ウ )ですが、電源のインピーダンスが小さいということは、そこに電流が流れやすいということです。つまり、回路全体の状況によってそこを流れる電流値が簡単に上下する一方、ダイオードのON・OFFに関わらず、電圧が一定を保てるということです(=電圧変動率が小さい)。よって、( ウ )は「電圧源」となります。

( エ )には「パルス状の」か「ほぼ方形波の」のいずれかが入りますが、下図の左側がパルス状の波形の例で、右側が方形波の例になります。

今回は上のほうの3つの図で示したように、左上と右下のダイオードをONにするとisが正の向きに流れ、右上と左下のダイオードをONにするとisが負の向きに流れ、全てOFFだとisは0となります。また、電源に電流が流れている間(いずれかのダイオードがONのとき)は平滑コンデンサが充電中なので、電源を流れるisは一定ではありません。

よって、( エ )は「パルス状の」が適切です。

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