電験三種 H24年 法規 問2 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気事業法」に基づく、立入検査に関する記述の一部である。

経済産業大臣は、( ア )に必要な限度において、経済産業省の職員に、電気事業者の事業所、その他事業場に立ち入り、業務の状況、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。また、自家用電気工作物を設置する者の工場、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。

立入検査をする職員は、その( イ )を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

立入検査の権限は( ウ )のために認められたものと解釈してはならない。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

     ア       イ    ウ

  1. 電気事業法の施行  理由  行政処分
  2. 緊急時       身分  犯罪捜査
  3. 緊急時       理由  行政処分
  4. 電気事業法の施行  身分  犯罪捜査
  5. 緊急時       身分  行政処分

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問題文は、電気事業法第107条「立入検査」です。この条文は以下の通りとなります。

  1. 主務大臣は、第三十九条、第四十条、第四十七条、第四十九条及び第五十条の規定の施行に必要な限度において、その職員に、原子力発電工作物を設置する者又はボイラー等の溶接をする者の工場又は営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、原子力発電工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
  2. 経済産業大臣は、前項の規定による立入検査のほか、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、電気事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務若しくは経理の状況又は電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
  3. 経済産業大臣は、第一項の規定による立入検査のほか、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、自家用電気工作物を設置する者又はボイラー等の溶接をする者の工場又は営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
  4. 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、一般用電気工作物の設置の場所に立ち入り、一般用電気工作物を検査させることができる。
  5. 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、登録安全管理審査機関又は登録調査機関の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
  6. 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、指定試験機関又は支援機関の事務所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
  7. 前各項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
  8. 第一項から第六項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

空白箇所( ア )を含む文は、上記の2項に該当します。

空白箇所(イ)を含む文は、上記の7項に該当します。

空白箇所( ウ )を含む文は、上記の8項に該当します。

この問題では特に( ウ )が大事で、電気事業法の法律自体の目的が、大まかに云うと「電気事業の運営を適正かつ合理的にすること」です。そのため、犯罪捜査など、電気事業とは無縁の目的で勝手に立入検査を行うのは、法の目的を逸脱します。

よって、犯罪捜査の口実としてこの権限を使うことは認めませんよ、というのが、第107条8項の言わんとするところです。

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