電験三種 H24年 電力 問12 問題と解説

 問 題     

送配電線路のフェランチ効果に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 受電端電圧の方が送電端電圧より高くなる現象である。
  2. 線路電流が大きい場合より著しく小さい場合に生じることが多い。
  3. 架空送配電線路の負荷側に地中送配電線路が接続されている場合に生じる可能性が高くなる。
  4. 線路電流の位相が電圧に対して遅れている場合に生じることが多い。
  5. 送配電線路のこう長が短い場合より長い場合に生じることが多い。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

フェランチ効果とは、(1)にあるように、受電端電圧のほうが送電端電圧よりも高くなる現象のことです。この現象は、送電線に進み電流が流れることによって発生します。特に、長距離の送電線路において、非常に軽負荷(もしくは無負荷)のときに発生しやすいです。

よって、(2)と(5)の記述も正しく、一方、(4)の記述の「電圧に対して遅れている」が誤りで、正しくは「電圧に対して進んでいる」です。

(3)も正しい記述です。フェランチ効果は進み電流が原因なので、静電容量が大きいほどその影響が大きくなります。地中送配電線路が接続されていると普通の架空送配電線路よりも静電容量が大きくなるため、フェランチ効果が起こりやすくなります。

これはほかの選択肢に比べてややマイナーな話ですが、これを知らなくても(4)が明らかな誤りなので問題ありません。

また、この設問とは直接関係ありませんが、このフェランチ効果を軽減するためには進み電流をなくせば(あるいは減らせば)良いので、遅れ無効電力を与える(進み電流を打ち消す)分路リアクトルを用いるのが効果的です。

このことも重要事項なので、併せて押さえておいてください。

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