風圧荷重

架空電線路の強度検討に用いる荷重には、風圧荷重、垂直荷重、水平横荷重、水平縦荷重などがあります。その中でも風圧荷重が重要なので、この項で詳しく扱います。

風圧荷重の種類

風圧荷重とは、架空電線路の構成材に加わる風圧による荷重のことで、甲種風圧荷重、乙種風圧荷重、丙種風圧荷重、着雪時風圧荷重の4種類があります。

甲種風圧荷重は、以下の表に規定する構成材の垂直投影面に加わる圧力を基礎として計算したもの、または風速40m/s以上を想定した風洞実験に基づく値より計算したものです(計算式は後述)。

ただし、計算問題が出題されるときには、構成材の垂直投影面に加わる圧力が与えられる場合が多いので、下表の数値を暗記する必要はありません。

風圧を受けるものの区分

構成材の垂直投影面に加わる圧力

支持物

木柱

780Pa

鉄筋コンクリート柱

丸形のもの

780Pa

その他のもの

1,180Pa

鉄柱

丸形のもの

780Pa

三角形又はひし形のもの

1,860Pa

鋼管により構成される四角形のもの

1,470Pa

その他のもの

腹材が前後面で重なる場合

2,160Pa

その他の場合

2,350Pa

鉄塔

単柱

丸形のもの

780Pa

六角形又は八角形のもの

1,470Pa

鋼管により構成されるもの(単柱を除く。)

1,670Pa

その他のもの(腕金類を含む。)

2,840Pa

架渉線

多導体を構成する電線

880Pa

その他のもの

980Pa

乙種風圧荷重は、架渉線の周囲に厚さ6mm、比重0.9の氷雪が付着した状態に対し、甲種風圧荷重の0.5倍を基礎として計算したものです。

丙種風圧荷重は、甲種風圧荷重の0.5倍を基礎として計算したものです。

着雪時風圧荷重は、架渉線の周囲に比重0.6の雪が同心円状に付着した状態に対し、甲種風圧荷重の0.3倍を基礎として計算したものです。

風圧荷重の計算式

風圧荷重は以下の式で表すことができます。この式を使った計算問題は頻出なので、最重要公式としてぜひ押さえておいてください。

  • F:風圧荷重[N]
  • P:圧力[N/m2]
  • S:垂直投影面積[m2]

甲種のときはこの式をそのまま使えますが、乙種・丙種・着雪時のときは上記で紹介した補正(雪を考慮したり、係数を掛けたり)が必要です。

風圧荷重の適用区分

上記のどの風圧荷重を適用するかは、以下のような条件分けによって決まります。

季節

地方

適用する風圧荷重

高温季

全ての地方

甲種風圧荷重

低温季

氷雪の多い地方

海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方

甲種風圧荷重又は乙種風圧荷重のいずれか大きいもの

上記以外の地方

乙種風圧荷重

氷雪の多い地方以外の地方

丙種風圧荷重

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