架空配電線路の各種機材

架空配電線路の機材には、電線、がいし、開閉器、変圧器、避雷器などがあります。この項では、それぞれの構造や機能を紹介します。

電線

架空配電線路に使われる電線は、雨や風、夏の暑さや冬の寒さに耐える必要があります。これらの条件を満たすために、以下のような電線がよく使われます。

  • 高圧配電線:屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(OC:Outdoor Crosslinked polyethylene)
  • 高圧引込線:高圧引下用絶縁電線(PD:Plane transformer Drop wire)
  • 低圧配電線:屋外用ビニル絶縁電線(OW:Outdoor Weather proof)
  • 低圧引込線:引込用ビニル絶縁電線(DV:Drop wire polyVinyl chloride)

OC線やOW線の「O」がOutdoorの頭文字であることを知っておけば、配電線だと覚えやすいです。また、PD線やDV線の「D」がDrop wireの頭文字であることを覚えておけば、引込線だとわかります。

がいし

がいしとは、電線と支持物(鉄塔や電柱)との間に取り付ける装置で、両者の間を絶縁する役割を果たします。

高圧架空電線路に用いられるがいしには、磁器製のものが多く使われます。

開閉器

配電線路用の開閉器は、配電線路の事故時に事故区間を切り離すためと、作業時の作業区間を区分するために使用されます。前者の目的で使われる開閉器が高圧カットアウト、後者の目的で使われる開閉器が柱上開閉器となります。

高圧カットアウトには柱上開閉器と同様、変圧器を電路から区分する役割もありますが、特徴的な役割としては、電線の短絡や変圧器の過負荷などの異常が起きると、ヒューズを切って電線路を切り離すことにより、事故を高圧系統側に波及させないようにしています。

柱上開閉器は、前述の通り、作業時の作業区間を区分するのが主な役割です。より具体的には、保守点検や修理などの作業を行う際に周りへの影響(停電など)を小さくするために周囲の回路から切り離すことを主な用途としています。

柱上開閉器には気中形、真空形、ガス形がありますが、気中形真空形がよく使われます。操作方法は、手動操作による手動式と制御器による自動式があります。

変圧器

柱上に設置される配電用変圧器は、多くが50[kV・A]以下という比較的小型のものが採用されています。

三相3線式の変圧器の場合には、同一容量の単相変圧器のV結線を採用しています。

また、三相4線式(V結線)の変圧器の場合には、単相と三相の負荷割合やその負荷曲線、電力損失を考慮に入れる必要があるため、三相3線式のときとは違い、異なる容量の単相変圧器を組み合わせることが多いです。

避雷器

避雷器は、大地に電流を流すことで雷や回路の開閉などに起因する過電圧の波高値が一定値を超えた場合に、放電により過電圧を抑制し、電気施設の絶縁を保護しつつ続流を短時間のうちに遮断して、系統の正常な状態を乱すことなく原状復帰する機能をもつ装置です。

避雷器には酸化亜鉛(ZnO)素子や炭化けい素(SiC)素子が用いられますが、性能面で勝る酸化亜鉛素子が広く使われています。

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