問 題
支持点の高さが同じで径間距離150mの架空電線路がある。電線の質量による荷重が20N/m、線膨張係数は1℃につき0.000018である。電線の導体温度が-10℃のとき、たるみは3.5mであった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、張力による電線の伸縮はないものとし、その他の条件は無視するものとする。
(a) 電線の導体温度が35℃のとき、電線の支持点間の実長の値[m]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 150.18
- 150.23
- 150.29
- 150.34
- 151.43
(b) (a)と同じ条件のとき、電線の支持点間の最低点における水平張力の値[N]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 6272
- 12863
- 13927
- 15638
- 17678
解 説
(a)
電線のたるみに関する計算問題はたびたび出題されているので、以下の2つの式は公式としてぜひ覚えておきたいところです。一つは電線のたるみD[m]を求める式、もう一つは電線の長さL[m]を求める式です。
- D:電線のたるみ [m]
- w:荷重 (電線1mあたり) [N/m]
- S:電線の支持物間の距離 (径間長) [m]
- T:水平張力 (電線の水平方向) [N]
- L:電線の長さ [m]
本問では35℃のときの電線の長さが問われているので、答えを出すには上式のうち(2)式を使うことになります。
ここで、問題文で-10℃のときのたるみが与えられているため、各数値を(2)式に代入します。
- L-10℃:-10℃条件下での電線の支持点間の実長の値 [m]
導体の温度が35℃になる場合を考えると、1℃につき、もとの長さの0.000018倍した分だけ膨張するので、次のように計算できます。
- L35℃:35℃条件下での電線の支持点間の実長の値 [m]
よって、正解は(4)です。
(b)
問われているのは、35°のときの水平張力の値[N]です。水平張力を使う式は(a)の解説の冒頭で示した(1)式のほうなので、最終的にはこの式を使います。以下に(1)式をもう一度記載します。
- D:電線のたるみ [m]
- w:荷重 (電線1mあたり) [N/m]
- S:電線の支持物間の距離 (径間長) [m]
- T:水平張力 (電線の水平方向) [N]
上式において、求めたいのは水平張力Tです。また、荷重wと径間長Sは問題文で与えられていますが、たるみDは未知数です。そのため、まずはたるみDを計算する必要があります。
たるみDを求めるには、設問(a)でも使った(2)式を用います。(a)では-10℃条件の数値を使いましたが、今回は35℃条件なので、その計算式は以下のようになります。
よって、(5)式の結果を(1)式に代入すると、求めたいの水平張力Tを計算することができます。
以上から、正解は(2)となります。
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