問 題
ある河川のある地点に貯水池を有する水力発電所を設ける場合の発電計画について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 流域面積を15000km2、年間降水量750mm、流出係数0.7とし、年間の平均流量の値[m3/s]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 25
- 100
- 175
- 250
- 325
(b) この水力発電所の最大使用水量を小問(a)で求めた流量とし、有効落差100m、水車と発電機の総合効率を80%、発電所の年間の設備利用率を60%としたとき、この発電所の年間発電電力量の値[kW・h]に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 年間発電電力量 [kW・h]
- 100 000 000
- 400 000 000
- 700 000 000
- 1 000 000 000
- 1 300 000 000
解 説
(a)
流域面積が15000km2、年間降水量が750mmなので、これらの積がこの流域に降る全ての水量となります。降った雨に対して河川に流れ込んだ割合が流出係数であり、今回は0.7とのことなので、残る0.3は地面に浸み込むなどして消失したことになります。
よって、問題文で与えられている3つの数値の積が年間の河川流量となるので、これを1年間の秒数で割れば、年間の平均流量の値[m3/s]を求めることができます。
ただし、15000km2と750mmのままでは単位(接頭辞)がバラバラなので、これをきちんと合わせてから計算するように注意してください。k(キロ)は10の3乗なのでkm2はさらにその2乗(合わせて6乗)になります。m(ミリ)は10の-3乗です。
以上を踏まえると、年間の平均流量の値Q[m3/s]は次のように計算することができます。
よって、正解は(4)です。
(b)
水力発電は水の位置エネルギーを電気エネルギーに変えるものなので、水車の理論水力は位置エネルギーで決まります。理論出力をPoとすると、以下のような式が書けます。
- Po:理論出力 [kW]
- Q:流量 [m3/s]
- H:有効落差 [m]
ただし、実際には水車や発電機でのエネルギー損失があるので、上記の理論出力に損失分を加味した「効率(η)」を掛けたものが、実際の発電機出力Pとなります。
よって、発電機出力Pは次のような計算式で表すことができます。なお、ここでは計算途中のまま次に進めますが、もちろんこの時点できっちり計算しても構いません。
一方で、今回問われているのは、年間発電電力量の値[kW・h]です。つまり、上記の出力を1年間の稼働時間数で掛けたものが答えとなります。
ここで、問題文より年間の設備利用率が60%とのことなので、1年間の稼働時間数Tは次のように計算できます。
以上から、求めたい年間発電電力量の値[kW・h]は次のように計算できます。
桁数が多いので注意する必要がありますが、上記の結果と選択肢とを見比べると(4)が最も近いので、正解は(4)となります。
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