電験三種 H30年 電力 問5 問題と解説

 問 題     

ロータ半径が30mの風車がある。風車が受ける風速が10m/sで、風車のパワー係数が50%のとき、風車のロータ軸出力[kW]に最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、空気の密度を1.2kg/m3とする。

ここでパワー係数とは、単位時間当たりにロータを通過する風のエネルギーのうちで、風車が風から取り出せるエネルギーの割合である。

  1. 57
  2. 85
  3. 710
  4. 850
  5. 1700

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

風のもつエネルギーは以下の式で表すことができます。この式はそのまま公式として押さえておきたい内容ですが、運動エネルギーと一緒なので覚えやすいと思います。

  • P:風のもつ運動エネルギー[J/s]
  • m:風の質量(1秒間に風車を通過する空気の量)[kg/s]
  • v:風速[m/s]

ここで、本来ならエネルギーの単位は[J]ですが、風というのは実体がない(質量がない)ものなので、ここでは「1秒あたり」として考えます。「1秒あたり」と時間を限定すれば、1秒の間に風車を通過する空気の量であれば決めることができるので、これが上式のmになります。

上式のうち風速vは問題文で与えられていますが、1秒間に風車を通過する空気の量mは計算で求める必要があります。

風車が風を受ける面積は半径30mの円で、1秒間の間に風は10m進むので、風の体積は半径30mで高さ10mの円柱となります。さらに、空気の密度が問題文より1.2kg/m3なので、その質量は次のように計算できます。

よって、風のもつ運動エネルギーPは以下のようになります。

最後に、風車のパワー係数が50%なので、上記の計算結果に×50/100をしたものが出力P’となります。

よって、正解は(4)です。

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