電験三種 H27年 電力 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、避雷器とその役割に関する記述である。

避雷器とは、大地に電流を流すことで雷又は回路の開閉などに起因する( ア )を抑制して、電気施設の絶縁を保護し、かつ、( イ )を短時間のうちに遮断して、系統の正常な状態を乱すことなく、原状に復帰する機能をもつ装置である。

避雷器には、炭化けい素(SiC)素子や酸化亜鉛(ZnO)素子などが用いられるが、性能面で勝る酸化亜鉛素子を用いた酸化亜鉛形避雷器が、現在、電力設備や電気設備で広く用いられている。なお、発変電所用避雷器では、酸化亜鉛形( ウ )避雷器が主に使用されているが、配電用避雷器では、酸化亜鉛形( エ )避雷器が多く使用されている。

電力系統には、変圧器をはじめ多くの機器が接続されている。これらの機器を異常時に保護するための絶縁強度の設計は、最も経済的かつ合理的に行うとともに、系統全体の信頼度を向上できるよう考慮する必要がある。これを( オ )という。このため、異常時に発生する( ア )を避雷器によって確実にある値以下に抑制し、機器の保護を行っている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)   (ウ)        (エ)     (オ)

  1. 過電圧 続流 ギャップレス   直列ギャップ付き 絶縁協調
  2. 過電流 電圧 直列ギャップ付き ギャップレス   電流協調
  3. 過電圧 電圧 直列ギャップ付き ギャップレス   保護協調
  4. 過電流 続流 ギャップレス   直列ギャップ付き 絶縁協調
  5. 過電圧 続流 ギャップレス   直列ギャップ付き 保護協調

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )には「過電圧」か「過電流」が入りますが、「電流を流すことで電流を抑制する」としてしまうと文章がおかしいので、ここには「過電圧」が入ります。

また、( イ )の直後には「遮断」とありますが、電流は遮断できても、電圧を遮断するという言い方はしません。よって、ここには「続流」が入ります。

先ほど過電圧を抑えるために流した最初の電流に対して、もう電圧が下がったのにそれでも流れ続けてしまう電流を続流といいます。この電流(続流)は特に流す必要のないものなので、問題文にあるように遮断して、原状復帰をするのが望ましいです。

( ウ )と( エ )は一方が「ギャップレス」で他方が「直列ギャップ付き」となりますが、直列ギャップとは、続流を遮断するためのパーツのことで、これがあるかないかという話です。結論からいうと、発変電所用としてはギャップレスが多く使われ、配電用としては直列ギャップ付きが多く使われています。

よって、( ウ )には「ギャップレス」、( エ )には「直列ギャップ付き」が入ります。

( オ )はその前の文章がかなりのヒントになっていますが、「機器を保護するための絶縁強度の設計」なので、このような観点からの設計を「絶縁強調」といいます。

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