ビル管理士試験 2019年 問102 問題と解説

 問 題     

建築物の消防用設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 煙感知器は、熱感知器に比べ火災の検知が早く、アトリウムや大型ドームのような大空間での火災感知に適している。
  2. 差動式熱感知器は、定められた温度を一定時間以上超え続けた場合に作動する。
  3. 小規模社会福祉施設では、上水道の給水管に連結したスプリンクラ設備の使用が認められている。
  4. ハロゲン化物消火設備は、負触媒作用による優れた消火効果があり、コンピュータルーム、図書館など水損被害が懸念される用途の空間で普及している。
  5. 排煙設備は、消防法施行令に定めるところの消防の用に供する設備に含まれる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は誤りです。大空間だと煙は拡散されて薄くなってしまうので、感知しづらいです。よって、アトリウムや大型ドームのような大空間での火災感知には向きません。

一方、熱感知器もやはり大空間では熱が分散して感知できないことがあります。アトリウムや大型ドームのような大空間で適しているのは、炎感知器です。

(2)も誤りです。差動式熱感知器は、感知器の周辺温度上昇率が一定以上になったとき作動します。つまり、温度そのものの高低ではなく、あくまで急に温度が上がることが条件です。

一方、定められた温度を一定時間以上超え続けた場合に作動するのは、定温式熱感知器のことです。

(4)は概ね正しいですが、最後の記述だけが不適当です。ハロゲン化物消火設備の特徴は記述の通りですが、消火剤の成分であるハロゲンがオゾン層破壊物質であることから、使用機会は減っています。よって、文末の「普及している」は言い過ぎなので、これは誤りです。

なお、コンピュータルームや図書館で主に使われているのは、不活性ガス消火設備です。不活性ガスとして使われるのは、二酸化炭素や窒素、アルゴンなので、水損被害が生じる心配はありません。

(5)も誤りで、排煙設備は「消火活動上必要な施設」に含まれます。

消防用設備は「消防の用に供する設備」、「消防用水」、「消火活動上必要な施設」に分類されます。このうち「消防用水」は防火水槽や貯水池などの水槽関連なので区別がつきやすいと思います。

残る「消防の用に供する設備」と「消火活動上必要な施設」は、設備の大きさで判断してください。

「消火活動上必要な施設」は、導入するにはかなり大掛かりな作業が必要で、普通は建設時じゃないと設置できなそうなものが当てはまります。具体的には、排煙設備、連結散水設備、無線通信補助設備、非常コンセント設備などが挙げられます。

一方、建物が完成したあとからでも追加することができそうな場合は、「消防の用に供する設備」に当てはまります。具体的には、屋内消火栓設備や屋外消火栓設備、自動火災報知設備、誘導灯、消火器、すべり台などが挙げられます。

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