ビル管理士試験 H30年 問84 問題と解説

 問 題     

騒音と振動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 道路交通振動に対する振動規制は、昼間より夜間の方が厳しい。
  2. 点音源の場合、音源までの距離が10倍になると、音圧レベルは約20dB減衰する。
  3. 防振溝は、回折減衰効果を利用した振動対策の方法である。
  4. 対象騒音が暗騒音より10dB以上大きい場合は、測定音を対象騒音と判断して良い。
  5. 不規則かつ大幅に変動する振動に対する振動規制法による規制基準は、最大の振動加速度レベルによって定められている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

この問題の答えは(5)ですが、内容がやや難しい上に、あまり頻出事項でもありません。一方で、(1)~(4)の内容は重要事項であるか、または基礎的な内容であるため、消去法で答えを出すのがよいかと思います。

(1)について、昼間は人が活動している時間ですが、夜は静かに眠っているため、振動が気になりやすいのは夜のほうです。よって、夜間の規制を厳しくするのは理にかなっているので、これは正しいです。

(2)に関して、音源からの距離が2倍や10倍になったときの音圧レベルの減衰する度合いは、知識として知っておくと便利です。点音源、線音源、面音源でそれぞれ減衰の度合いが以下のように異なります。

  • 点音源:距離2倍で約6dB減衰、距離10倍で約20dB減衰
  • 線音源:距離2倍で約3dB減衰、距離10倍で約10dB減衰
  • 面音源:距離によらず、ほぼ減衰なし

これは知識として押さえておけば便利ですが、もし導出の根拠を覚えておきたい場合はH25問題86の解説を参照してください。

よって、(2)では「点音源・10倍・20dB」なので、正しいです。

(3)も記述の通りです。防振溝は、道路交通振動など建築物外からの振動対策として設けられています。ちなみに、防振溝の溝が深いほど、効果的に道路交通振動を防止することができます。

(4)について、対象騒音の測定値が暗騒音の測定値よりも数dB大きい程度だった場合、対象騒音の測定結果は色々な音(対象騒音とその他の環境音)が混ざった数値となっています。よって、対象騒音を正しく評価するためには、測定音に対して暗騒音による影響の除去が必要となります。

一方で、対象騒音が暗騒音よりも10dB以上大きい場合には、対象騒音が周りの音よりも極端に大きいということなので、その測定値はそのまま対象騒音が発している音であると判断することができます。

よって、(4)の記述も正しいです。

(5)は冒頭で書いたようにややマイナーな話なので、あまり気にしなくてもよいと思います。

一応、正解だけ示しておくと、「最大の振動加速度レベル」の部分が誤りで、正しくは「時間率レベルで80%レンジの上端値[L10]」となります。

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