ビル管理士試験 H29年 問69 問題と解説

 問 題     

空気調和機を構成する機器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. エアハンドリングユニットは、熱源設備から供給される冷水・温水・蒸気等を用いて空調空気を作り、各ゾーン・各室にダクトにより送風する。
  2. パッケージ型空調機のセパレート型は、一般に圧縮機と膨張弁を収めた室外機と、蒸発器、凝縮器と送風機を収めた室内機から構成される。
  3. ファンコイルユニットは、送風機、熱交換器、エアフィルタ及びケーシングによって構成される室内設置用の小型空調機である。
  4. ターミナルエアハンドリングユニットは、小風量タイプで機械室を用いずに天井隠ぺい型などとして設置可能であり、個別制御性に優れている。
  5. パッケージ型空調機の冷房専用機では、凝縮器の冷却方式により水冷型と空冷型に分類される。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

パッケージ型空調機には一体型とセパレート型があり、セパレート型のほうは室外機と室内機が分かれて設置されます。

室外機は圧縮機と熱交換器で構成され、室内機は膨張弁と熱交換器、送風機で構成されます。熱交換器というのは蒸発器あるいは凝縮器のことですが、これら2つのどちらが室外でどちらが室内になるかは、空調機を冷房として使うか暖房として使うかで変わってきます。

以下、冷房時のサイクルについて説明します。

冷房時、冷媒は次のようなサイクルをたどります。

  1. 圧縮機:室外にある圧縮機で冷媒が圧縮され、高温の気体となります。
  2. 熱交換器(凝縮器):同じく室外にある凝縮器で冷媒の熱を外へ逃し、冷媒自身は冷えて液体になります。
  3. このあと、液体になった冷媒が室内へと移動します。
  4. 膨張弁:室内の膨張弁で冷媒を膨張させることで、冷媒の温度はさらに下がります。
  5. 熱交換器(蒸発器):冷たい冷媒と室内の暖かい空気との間で熱交換が行われ、冷媒は蒸発して気体となります。また、送風機は冷媒には直接関わりませんが、室内の空気を送風することで、この熱交換の効率を良くします。
  6. このあと、気体となった冷媒が室外へ出て、1.の圧縮機に戻ります。

以上より、冷房時には室外機と室内機の構成は以下のようになります。

  • 室外機:圧縮機、熱交換器(凝縮器)
  • 室内機:膨張弁、熱交換器(蒸発器)、送風機

一方、暖房時には室内外の熱交換器の役割がそっくり反対になるので、その構成は以下のようになります。

  • 室外機:圧縮機、熱交換器(蒸発器)
  • 室内機:膨張弁、熱交換器(凝縮器)、送風機

よって、冷房・暖房に関わらず、(2)の記述が誤りであることがわかります。

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