ビル管理士試験 2023年 問29 問題と解説

 問 題     

建築物における室内空気とその環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 一般の室内環境下では、窒素の人体への健康影響はない。
  2. 一般的な室内空気中の酸素濃度は、約21%である。
  3. 良好な室内空気環境を維持するためには、1人当たり10m3/h以上の換気量が必要である。
  4. 建築物衛生法では、粒径(相対沈降径)がおおむね10μm以下の粉じんを測定対象としている。
  5. 花粉は、エアロゾル粒子として室内に存在し得る。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。窒素は大気中の約78%を占めるので、仮にこれが人体に有害だとすると人類は生きていけません。

(2)も正しいです。空気の成分は、窒素が約78%、酸素が約21%、その他諸々が約1%となります。

(3)が誤りです。良好な室内空気環境を維持するためには、一般に1人当たり「30m3/h」以上の換気量が必要とされています。

なお、これは規定事項ではなく目安であり、二酸化炭素濃度をより重要な指標として用いています。そのため、もし1人当たり30m3/h以下の換気量であっても、二酸化炭素濃度が高くならなければそれで問題ありません。

よって、(3)の「10m3/h」が誤りで、これを「30m3/h」に直せば正しい文章となります。

(4)は正しいです。粒径10μm以下の粉じんは長時間にわたり浮遊し、ヒトの気道内に取り込まれやすいです。よって、このような浮遊粉じん(粒径10μm以下の粉じん)を測定対象とします。

(5)も正しいです。エアロゾル粒子には様々な種類がありますが、花粉もその代表例の一つです。本問からは脱線しますが、各エアロゾル粒子の粒径は頻出テーマです。それについては2019年 問58の解説を参照してください。

以上から、正解は(3)となります。

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