ビル管理士試験 2023年 問21 問題と解説

 問 題     

環境基準と閾値(いきち)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 環境基準には、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準と生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準がある。
  2. 閾値とは最小の刺激量として定義され、医学的な有害性の判断の根拠となる量である。
  3. 環境基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
  4. 閾値の概念を示すHatchの図において、縦軸は化学的因子の量である。
  5. 環境基準は、動物実験や疫学調査等から得られる有害濃度を基礎とし、安全度を考慮して決定されている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

この問題の正解は(4)ですが、これは出題頻度から見てマイナーな知識だといえます。一方、他の選択肢はどれも基本的または頻出の事項なので、この問題は消去法で正解できれば十分だと思います。

(1)は正しいです。環境基準は、人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として設定した目標値です。

(2)も正しいです。記述の通りで、閾値とは最小の刺激量として定義され、医学的な有害性の判断の根拠となる量です。閾値未満の量であればそれを摂取したり曝露したりしても、人体に全く悪影響が出ないとされています。

(3)も正しいです。環境基準は、現に得られる限りの科学的知見を基礎として定められているものであり、常に新しい科学的知見の収集に努め、適切な科学的判断が加えられていかなければならないものとされています。

(4)が誤りですが、解説の冒頭に書いた通り、Hatchの図はマイナーな知識なので、知らなくても仕方ないと思います。

(4)の前半は正しく、Hatchの図は閾値の概念を示すグラフです。しかし、(4)の後半が誤っていて、このグラフの縦軸は、健康・病気・死といった医学的症状を示します。また、横軸は、安全・有害・危険などの化学的因子の量となります。

(5)は正しいです。環境基準値は、動物実験や疫学調査などから得られる有害濃度を元に、さらに人間と動物の種差や、人間同士の個人差などを踏まえた安全度を考慮して決定されています。

以上から、正解は(4)となります。

コメント