ビル管理士試験 2022年 問73 問題と解説

 問 題     

吹出口に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. ふく流吹出口は、他の吹出口に比べて誘引効果が高く、温度差や風量が大きくても居住域にコールドドラフトが生じにくい。
  2. 軸流吹出口の吹出気流は、拡散角度が大きく、到達距離が短いのが特徴である。
  3. 線状吹出口は、主にインテリアゾーンの熱負荷処理用として設置されることが多い。
  4. 面状吹出口は、放射冷暖房の効果が期待できない。
  5. 線状吹出口は、吹出し方向を調整できない。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

空気調和設備の吹出口には、ふく流吹出口、軸流吹出口、線状吹出口、面状吹出口の4種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

  • ふく流吹出口は、他の吹出口に比べて誘引効果が高く、均一度の高い温度分布が得られます。
  • 軸流吹出口は、誘引比と拡散角度が小さく、一定方向に対して到達距離が長いのが特徴です。
  • 線状吹出口は、ふく流吹出口と同様に誘引比が大きく、均一な温度分布を得やすいです。
  • 面状吹出口は、天井板に細孔をあけた有孔天井を用い、天井全面から微風速で吹き出す方式が一般的です。

上記を踏まえて各選択肢の正誤を確認していきます。

(1)は正しいです。コールドドラフトとは、冷たい壁付近などで自然対流によって生じる下降冷気流です。ふく流吹出口は誘引効果が高く、均一度の高い温度分布が得られるので、温度差や風量が大きくても給気が居住域全体に行き渡りやすく、コールドドラフトを生じにくいです。

(2)は誤りです。上記の通り、軸流吹出口は、誘引比と拡散角度が小さく、一定方向に対して到達距離が長いのが特徴です。(2)には真逆のことが書かれています。

(3)も誤りです。まず、インテリアゾーンとは室内の中央部分のことです。窓や廊下から距離があるので、外気から受ける影響が小さく熱負荷の小さい場所といえます。対して、ペリメータゾーンとは室内の窓際や壁際のことです。外気から受ける影響が大きく熱負荷が大きい場所となります。

ここで、線状吹出口は、主にペリメータ負荷処理用として窓近傍に設置されることが多いのが特徴です。よって、(3)の「インテリアゾーン」が誤りで、正しくは「ペリメータゾーン」となります。

(4)も誤りです。天井板の表面温度は室内温度と比べて、冷房時に冷たく、暖房時に温かくなっています。そのため、放射冷暖房の効果が期待できます。

(5)も誤りです。線状吹出口の多くは吹出し方向の調整が可能です。

以上から、正解は(1)となります。

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