ビル管理士試験 2020年 問99 問題と解説

 問 題     

建築設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 常時遠隔監視・管理が行われているエレベータは、所有者による特定行政庁への定期点検報告は不要である。
  2. 都市ガスの保守管理において、配管、ガス栓、ガス漏れ警報器の日常点検は、ガス設備の所有者又は使用者が行う必要がある。
  3. 分散電源システムとは、商用電源が止まった場合においても給電できる自家発電設備や蓄電池で構成されるシステムのことである。
  4. 建築物の不動産価値を評価するためのデューディリジェンスにおいては、建物の躯体・設備の現況が重要で、維持管理状態や稼働状況の記録は不要である。
  5. ESCO(Energy Service Company)事業のシェアード・セービング方式とは、顧客が自己投資により設備機器を導入し、ESCO事業者が削減効果を保証する方式である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

この問題は(4)や(5)がマイナーな内容となっているため、消去法ではなく(2)が正しいことを的確に答えたい問題です。

(1)は誤りです。エレベータやエスカレータなどは、定期点検結果を報告する義務があります。

(2)が正しい記述で、これが正解です。内容的にも基本的なもので、特に矛盾点がないので正解の判断をしやすいと思います。

(3)は誤りです。分散電源システムとは、太陽光発電や風力発電などを利用して、電力会社からの商用電源と系統連系することにより複数の電源を構成するシステムのことです。これは、(3)にあるような非常時のバックアップではなく、日常的に複数の電源を使用するシステムとなります。

(4)も誤りです。デューディリジェンスというのは不動産評価の際によく用いられる言葉で、「相当な注意義務」などと訳されます。これは、これから売買する不動産をしっかりと正確に評価するため、多面的な視点から精査・分析を行うことで不動産の価値を評価しなければならない、という意味を持ちます。

よって、(4)にあるような「維持管理状態や稼働状況の記録は不要」ということはなく、これらの記録ももちろん必要になってきます。

(5)も誤りです。この文章は「シェアード・セービング方式」ではなく、「ギャランティード・セービング方式」となっています。

シェアード・セービング方式は、ESCO事業者の資金で設備機器を導入し、それによる省エネ成果で得られた利益から少しずつ初期投資の額を受け取ります。そして残った利益をESCO事業者と顧客とで分配するという方式です。

…とはいえ、試験対策としては、これら2つの方式の区別を正解に覚えておく必要はあまりないと思います。

以上から、正解は(2)です。

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