ビル管理士試験 2020年 問65 問題と解説

 問 題     

変風量単一ダクト方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 定風量単一ダクト方式に対して、省エネルギーと室内温度制御性の改善を目的とした方式である。
  2. 室への給気風量及び室からの還気風量を変えるために、変風量装置が用いられる。
  3. 給気風量を可変としているため、必要となる新鮮外気量の確保に対策が必要である。
  4. 通常、給気温度は一定で運転される。
  5. 潜熱・顕熱を分離して制御できる空気調和システムである。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は正しい記述です。

変風量単一ダクト方式も定風量単一ダクト方式も全空気方式に分類されますが、給気温度を変化させて熱負荷に対応する定風量単一ダクト方式よりも、給気風量を変化させて熱負荷に対応する変風量単一ダクト方式のほうが、省エネルギーかつ室内温度制御性に優れます。

(2)も正しい記述です。

これは重要事項というほどではありませんが、文章に矛盾点もなくわかりやすいと思います。

(3)も正しい記述です。

変風量単一ダクト方式は、風量が減少した場合、室内空気の清浄度が悪化する可能性があります。そうならないよう、新鮮な外気を充分に確保できるような対策を講じることが求められます。

(4)も正しい記述です。

(1)の解説の通り、給気温度を変化させるのは定風量単一ダクト方式です。変風量単一ダクト方式の場合は給気風量で調節するため、一般的には給気温度を一定とします。

(5)が誤りの記述となります。

潜熱と顕熱については、温度変化を伴う熱が顕熱、状態変化のように温度変化のない熱が潜熱です。空調機で状態変化するものといえば湿気(水と水蒸気)なので、空調機における全熱・顕熱・潜熱はそれぞれ次のように関連付けて覚えてください。

  • 全熱:温度と湿度
  • 顕熱:温度
  • 潜熱:湿度

(1)の解説の通り、変風量単一ダクト方式は全空気方式の一種です。空気には温度と湿度の両要素が含まれるので全熱を制御しているといえますが、空気の交換によって温度と湿度をそれぞれ任意に制御するということは不可能です。

よって、(5)の記述が誤りであると判断することができます。

ちなみに、ややマイナーな知識ではありますが、デシカント空調方式が潜熱・顕熱を分離して制御できる空気調和システムとなります。

以上から、正解は(5)です。

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