公務員試験 H30年 国家一般職(農学) No.36 解説

 問 題     

家畜の疾病に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.高病原性鳥インフルエンザは、家禽に高い致死性を示す。感染した野鳥、汚染された排泄物や粉塵などを介して伝播する。我が国では鶏卵や鶏肉の摂取によるヒトへの感染例は報告されていない。

2.SPF 豚とは、病気に強い特性を持つ豚の品種であり、我が国で作られた。オーエスキー病や豚赤痢といった特定の病原菌に感染しても症状がみられない。

3.肥育牛の死亡原因は外傷、消化器病、循環器病が多く、消化器病の中では急性の鼓脹症による死亡が最も多い。鼓脹症は、第一胃内のpH が著しく低下することが原因である。

4.BSE は、ウイルスによる伝染病であり、平成29 年時点で我が国では、と畜時に全頭検査が行われている。近年我が国での発症はなく、BSE の安全性格付けを行っているWHO は我が国を「無視できるリスクの国」としている。

5.口蹄疫は、細菌による伝染病であり、偶蹄目が感染する。感染力・伝播力は弱いが、致死率は成畜で80 % を超えている。なお、感染畜の肉や牛乳が市場に出回ることはないが、これらを摂取しても人体に影響はない。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
高病原性鳥インフルエンザについての記述です。


選択肢 2 ですが
SPF 豚は、特定の病原体を持たないブタのことです。SPF は Specific Pathogen Free の略です。生まれる時から清潔な農場環境で飼育される「健康豚」です。「病気に強い特性を持つ豚」ではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
第一胃内の pH が著しく低下するのはルーメンアシドーシスです。鼓脹症ではありません。鼓脹症の基本的な原因は、第一胃発酵異常です。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
BSE の原因は BSE プリオンです。「ウイルスによる伝染病」ではありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
前半部分について複数誤っています。口蹄疫は「ウイルス」による伝染病です。「細菌」によるではありません。また、感染力・伝播力は極めて高いです。致死率は幼畜では 50 % を超え、成畜では数 % 程度です。

後半は妥当です。仮に感染肉等をヒトが摂取しても、人体に影響はありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

コメント