公務員試験 H30年 国家一般職(農学) No.35 解説

 問 題     

家畜の飼料に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.家畜の飼料は粗飼料と濃厚飼料に大別される。濃厚飼料は、トウモロコシ等の穀物が主な原料で、そのほとんどを輸入に依存しており、価格は穀物相場や海上運賃、為替等の影響を大きく受ける。

2.飼料原料に不足するイソロイシンを添加し、飼料の栄養バランスを改善すると、家畜の体内で脂肪が効率良く利用され、飼料給餌量を減らすとともに、排泄窒素量を減らすことができる。

3.複数の粗飼料を良く混合した TMR は、ウシの飼料摂取量の増加や第一胃の機能を正常に保つ利点がある。早期離乳法では、第一胃の発達を促すため、TMR を中心とした飼料を生後 1 週齢頃から子牛に与える。

4.肥育豚の飼育では、肥育前期に栄養価の低い飼料を給与し、筋肉や骨などが発達する肥育後期には高タンパク質の飼料を与えるほか、自由給餌により脂肪の蓄積を抑え、赤肉量を多くする。

5.養鶏用飼料には、エネルギー源としてトウモロコシが主に用いられ、タンパク質源として米ぬかなどが用いられる。一般に、産卵鶏用はブロイラー用に比べて、高エネルギー高タンパク質となっている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
濃厚飼料についての記述です。


選択肢 2 ですが
イソロイシンは「必須アミノ酸」の 1 つです。そのため、イソロイシンにより栄養バランスを改善すれば、タンパク質が効率良く合成されます。「脂肪が効率良く利用され」るわけではなく、選択肢 2 は妥当でないと考えられます。


選択肢 3 ですが
早期離乳法は、第 1 胃の発達促進のため、6 週齢で離乳するという飼育管理方法です。出生後 1 週間は、母牛の初乳で育て、その後は代用乳や牛乳、固形飼料を中心にして育てます。「TMR を中心とした飼料を生後 1 週齢頃から子牛に与える」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
自由給餌とは、ブタが飼料を食べたい時にいつでも食べられるようにする方法です。自由給餌ではブタがいっぱい飼料を食べがちです。「脂肪の蓄積を抑え」ることはできないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
養鶏用飼料のタンパク質源として用いられるのは大豆かす などの植物油かす です。ぬか類はエネルギーの調節 及び 微量栄養素補給目的で用いられます。また、ブロイラーの発育は採卵鶏より著しく速いため、高エネルギー高タンパク質の飼料です。「産卵鶏用はブロイラー用に比べて高エネルギー高タンパク質」ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

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