問 題
植物の病害の予防や防除に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.1980 年代に、トマトかいよう病とイネ萎縮病が外国から我が国に侵入して問題となった。その対策として、我が国では 1990 年代に植物防疫法が制定され、植物検疫体制が整備されてきた。
2.一部の系統が発病しても病害が拡大しないようにする効果を期待して、一般形質が同じで真性抵抗性遺伝子だけが異なる同質遺伝子系統を幾つか組み合わせ、抵抗性に多様性を持たせたマルチラインが利用されている。
3.我が国における薬剤耐性菌の出現例としては、カスガマイシンに対するナシ黒斑病菌が知られている。薬剤耐性菌は、現在のところ 3 種類の薬剤のみについて発生が確認されている。
4.病原体の農薬への耐性メカニズムとしては、薬剤との結合親和性の上昇、薬剤の分解・解毒、薬剤の細胞外排出、細胞内への薬剤透過性の上昇などが知られている。
5.弱毒ウイルスをあらかじめ接種しておくと、強毒ウイルスの感染を防ぐことができる。これは、抗原抗体反応により発現される。タバコモザイクウイルスでの防除に効果がみられるが、キュウリモザイクウイルスでは効果が低い。
解 説
選択肢 1 ですが
植物防疫法の制定は 1950 年です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
植物のマルチライン (多系品種) についての記述です。
選択肢 3 ですが
我が国における薬剤耐性菌出現例が たった 3 種類の薬剤のみについてしか発生が確認されていない、というのは妥当でないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
薬剤との結合親和性「低下」、・・・、細胞内への薬剤透過性の「低下」が妥当です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
弱毒ウイルスをあらかじめ接種しておくと強毒ウイルス感染を防ぐことができるという第 1 文の記述は妥当です。植物ワクチンと呼ばれます。
第 2 文について、植物には動物のような抗原抗体反応 はありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。

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