問 題
植物に加害する病原体の特徴に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.植物病原細菌は、機械的侵入や化学的侵入を行うが、傷口や気孔・水孔などの自然開口部からも植物内に侵入する。この病原体によって引き起こされる病害には、トマトかいよう病、アブラナ科植物根こぶ病などがある。
2.植物病原菌類では、繁殖などのために胞子が形成されるが、形成されるのは無性胞子のみである。この病原体によって引き起こされる病害には、ジャガイモ疫病、イネ白葉枯病などがある。
3.ファイトプラズマは、主にアブラムシ類によって媒介される。感染した植物は、叢生、萎縮、てんぐ巣、黄化などの症状を呈する。ファイトプラズマは、子のう菌のグループに属する。
4.植物に寄生する線虫は、体長が 10 mm 程度の種が多く、植物組織を外側から加害する外部寄生者と、植物組織内に潜り込み内側から加害する内部寄生者とがある。ネコブセンチュウは、植物の根にシストを形成し、シストには中の卵を長期間保護する機能がある。
5.植物ウイルスは、汁液伝染、接ぎ木伝染、昆虫などの媒介生物による伝染、種子・花粉による伝染など幅広い伝染経路を持つ。代表的病徴として、植物体の萎縮・矮化・叢生、葉のモザイク・黄化・葉巻がある。植物ウイルスでは、 1 本鎖 RNA ゲノムを持つウイルスが多い。
解 説
選択肢 1 ですが
アブラナ科植物根こぶ病の原因は糸状菌です。細菌ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
イネ白葉枯病の原因は細菌です。菌類ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ファイトプラズマは、主にヨコバイ類によって媒介されます。「主にアブラムシ類によって」ではありません。また、ファイトプラズマは子のう菌のグループとは別の分類です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
線虫の多くは体長 0.3 ~ 3.0 mm 程度です。「10mm 程度」は少し大きすぎます。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
植物ウイルスについての記述です。
以上より、正解は 5 です。

コメント