公務員試験 H30年 国家一般職(農学) No.16 解説

 問 題     

果菜類の着花と果実の発育に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.トマトでは主枝に本葉が 9 枚程度つくと、それ以降につく各葉の葉腋に花房が着生する。また、トマトの果実は桃熟期になるとジベレリン生成量の増加に伴って軟化が進む。

2.キュウリは単為結果性がないため、虫媒等による受粉が必要となる。また、キュウリは一般に、生食用には開花後 30 日 ~ 40 日の成熟果を収穫する。

3.我が国で栽培されているメロンの多くは雌雄異株である。また、メロンは非クライマクテリック型の果実で、果実の呼吸量は収穫後の時間経過とともに漸減する。

4.ナスは通常は花房を形成しないため、着果数を多くするためには花芽をつける枝を多く発生させる必要がある。また、ナスの果実は紫外線カットフィルム下で栽培すると着色が抑制されることがある。

5.イチゴの花芽は、クラウンという短縮茎から発生する側枝にのみ着生する。また、イチゴの果実は子房が肥大してできた真果である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
トマトは主枝に本葉が 8 ~ 9 枚程度つくと、頂端に第 1 花房を分化します。その後は、直下の腋芽が伸び、葉を3枚つけると頂端に第 2 花房、その直下の腋芽が伸び、葉が3枚ついて… と分化し続けながら成長します。「それ以降につく各葉の葉腋に花房が着生」ではありません。

また、トマトの果実は桃熟期になると「エチレン」生成量の増加に伴い軟化が進みます。「ジベレリン」ではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
キュウリは単為結果性です。単為結果とは、植物が受粉・受精がなくても果実を実らせる現象です。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
メロンの多くは雌雄同株、自家不和合性です。「雌雄異株」ではありません。また、メロンはリンゴやトマトと同じく、果実の成熟の際に呼吸量が著しく増大する「クライマクテリック型」の果実です。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。
ナスについての記述です。


選択肢 5 ですが
トマトと同様に頂端分化 → 直下腋伸びる → その頂端分化 → 直下腋伸びる… という「仮軸分岐」します。そのため「クラウンという短縮茎から発生する側枝のみ 花芽が着生」ではありません。また、イチゴの果実は花托が成長・肥大した「偽果」です。子房が肥大した真果ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

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