問 題
農薬に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.薬剤である殺虫剤、殺菌剤、除草剤は全て農薬取締法の規制対象となっている。一方、天敵昆虫は生物であること、農薬の付着性を高める展着剤は殺虫殺菌等の効果を有していないことから、農薬に該当せず、農薬取締法の規制対象外となっている。
2.農薬取締法に基づき、国に登録された農薬以外は国内での販売が禁止されているため、我が国で登録されていない海外の農薬を使用するには個人で輸入する必要がある。登録に当たっては、人の健康保護の観点からのみ、検査が実施されている。
3.農薬を使用した結果、農作物等に残った農薬を「残留農薬」という。この残留農薬が人の健康に害を及ぼすことがないように、厚生労働大臣が食品衛生法に基づき食品ごとの農薬の残留基準を定めている。
4.我が国では、農薬の使用に当たっては、いかなる場合でも、ラベルに記載された、使用時期、使用濃度、使用回数、適用病害虫を遵守することが義務付けられている。一方、どの農作物等に使用するかは、規制されていない。
5.化学的に合成された農薬を一切使用しない栽培方法である環境保全型農業が、我が国で推進されており、農地単位面積当たりの農薬使用量は英国、ドイツ、フランスの約 1/2 の水準となっている。
解 説
選択肢 1 ですが
農薬取締法第 2 条 2 項より、天敵は農薬とみなされます。天敵製剤と呼ばれる農薬として扱われます。但し、地域に生息する土着天敵は特定農薬として指定されており、農薬取締法の規制対象外です。
また、展着剤は、それ自体には殺虫や殺菌などの効果はありません。しかし、農薬取締法で、展着剤も農薬としての登録が義務付けられています。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
農薬の登録にあたり「農作物等、人畜及び生活環境動植物へ与える影響」の観点から検査が実施されます。「人の健康保護の観点からのみ」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
残留農薬についての記述です。
選択肢 4 ですが
農薬取締法第 25 条より、農薬使用者は「農林水産大臣及び環境大臣が農薬の種類ごとに定める 使用の時期 及び 方法 その他の事項についての基準」を遵守する義務があります。適用作物についても規制されており、「どの農作物等に使用するかは、規制されていない」という記述は不適切です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
環境保全型農業とは、可能な限り環境に負荷を与えない(または少ない)農業、農法のことです。具体的には、化学資材の使用はまったく認めない「無農薬・無化学肥料栽培」のように厳格な立場から、多少の使用は認めるという減農薬・減化学肥料という立場まで幅がああります。「化学的に合成された農薬を一切使用しない栽培方法」と決まっているわけではありません。
また、日本は農地単位面積当たり農薬使用量世界トップクラスです。「英国、ドイツ、フランスの約 1/2 の水準」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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