問 題
科学技術や生命倫理に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.生命維持装置の出現によって,患者本人が意思を表明できなくとも,延命治療が行われるようになり,QOL(生命の質)は大幅に改善された。
2.遺伝子組換え作物とは,遺伝子を操作して安全性を高めた作物であるが,生態系のバランスが崩れるおそれがあり,我が国では,販売が禁止されている。
3.インフォームド・コンセントとは,医師が患者に十分な説明を与えた上で,患者が治療の方針や方法について同意することをいう。
4.我が国では,脳死とは,自発呼吸はあるが脳波が平坦であるなど,脳幹を除く脳の大半の機能が停止した状態とされ,脳死者から臓器の移植が行われている。
5.iPS 細胞(人工多能性幹細胞)を用いた再生医療は,拒絶反応の問題があり,また,作製の際に受精卵を壊す必要があるため,ヒトへは適用されていない。
解 説
選択肢 1 ですが
単に命を延ばすこと と QOL の改善 は 1 対 1 に対応するわけではありません。延命治療を望むか望まないかといった、当事者の気持ちを周囲が可能な限り理解し、気持ちに応えることが QOL の向上・改善につながります。選択肢 1 は妥当ではありません。
選択肢 2 ですが
我が国で 安全性が確認され、販売・流通が認められているものとして、大豆、じゃがいもなどがあります。「我が国では,販売が禁止されている」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
インフォームド・コンセントに関する記述です。
選択肢 4 ですが
本試験時点において、脳死は「脳幹を含む、脳全体の機能が失われた状態」と定義されます。脳幹の機能は、脳幹反射の有無で確認します。具体的には 光に対する瞳孔縮小 反応が消失していることなどを繰り返し確認します。「脳幹を除く脳の大半の機能が停止した状態」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
iPS 細胞は、受精卵(胚)の中にある細胞を取り出して培養する ES 細胞とは異なり,受精卵(胚)を損なうという倫理的な問題がないとされています。また,患者自身の細胞を利用すると,拒絶反応の問題を回避できるとされています。(国家一般職 大卒 H28no30)
「拒絶反応の問題があり,また,作製の際に受精卵を壊す必要がある」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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