公務員試験 H30年 国家一般職(行政) No.45解説

 問 題     

最近の欧米の経済状況に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.世界経済危機による景気後退を経た後,景気回復を続けた米国についてみると,2016 年の実質GDP 成長率(前年比)は2015 年のそれよりも鈍化した。2016 年の実質GDP 成長率について需要項目別にみると,GDP の約7 割を占める個人消費が2015 年に引き続き堅調に伸びた。

2.米国の経常収支(年間)の赤字額は,1990 年代初頭から2000 年代半ば頃までは,ほぼ横ばいで推移していた。しかし,2000 年代後半の世界経済危機以降,貿易収支の赤字が大幅に拡大してきたため,2016 年の経常収支(年間)の赤字額は2006 年のそれの2 倍近くに達した。

3.米国の非農業部門就業者数(季節調整値)の伸び(前月差)をみると,2015 年平均は10 万人を下回っていたが,2016 年平均は約11 万人となった。米国連邦準備制度理事会(FRB)は雇用環境の改善がみられたことから,2017 年3 月に7 年間にわたり継続したゼロ金利政策を解除した。

4.ユーロ圏全体の実質GDP 成長率(前期比,季節調整値)は,2013 年4-6 月期から2015 年10-12 月期まで長期間にわたりプラスを維持してきたが,2016 年7-9 月期から2017 年4-6 月期までについては,個人消費が連続してマイナスに寄与したことや失業率の上昇などを
反映して,マイナスで推移した。

5.英国は,2016 年半ばに国民投票でEU 離脱が決定された直後からポンドと株価が下落し始め,2017 年半ばまでその下落傾向に歯止めがかからなかった。このような状況の下,実質GDP 成長率(前期比,季節調整値)は,個人消費がマイナスに寄与したことなどを反映して,2016 年7-9 月期から3 四半期連続でマイナスとなった。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
米国の GDP に関する記述です。

選択肢 2 ですが
米国の経常収支における赤字は、1990 年代後半からずっと拡大傾向でしたが、2006 年に底を打ち、緩やかに赤字幅が減少している傾向で推移しています。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
FRB は、2008 年 12 月から 7 年間続いたゼロ金利政策を解除しました。従って、「2017 年 3 月に 7 年間にわたり継続したゼロ金利政策を解除した」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ユーロ圏全体の実質 GDP 成長率は、13年4~6月期以降ずっとプラスで推移しています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
英国の実質 GDP はずっとプラスで推移しています。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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