問 題
江戸時代の教育に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.林羅山は,古学の開祖とされ,徳川家康以後四代の将軍に仕え,学問・政策実務の両面で重く用いられた。三代将軍家光から与えられた私邸に家塾を開き,門人の教育に当たったが,これが後の水戸藩の弘道館の基礎となった。
2.貝原益軒は,晩年に複数の教訓書を著した。『和俗童子訓』は,我が国最初の体系的な教育論書とされており,その中で,早期教育の重要性を説き,子供の発達段階に即した教授法と教材を示した。
3.石田梅岩は,洋学を創始した思想家で,人間の本性とは何かを追究しながら,自宅で主に庶民を対象に講釈を行った。『自然真営道』では,封建社会の身分制度と,その基礎となる儒教・仏教・道教を批判した。
4.本居宣長は,心学の大成者で,医師として活動しながら古典の研究に励み,『万葉集』や『源氏物語』についての講義を行った。『源氏物語』の研究では,「わび・さび」という美意識に文学の本質を求めた。
5.二宮尊徳は,全ての者が労働に携わるべきだとして,徹底した平等思想を唱えた農政家であり,多くの農村の復興に尽力した。彼の思想は「直耕」と呼ばれ,後の郷土教育運動や生活綴方運動にも影響を与えた。
解 説
選択肢 1 ですが
林羅山は、儒学者・朱子学者の家系である「林家」の祖です。古学は、朱子学を否定する江戸時代の儒教の一派です。古学の祖は「山鹿素行」です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
貝原益軒についての記述です。
選択肢 3 ですが
石田梅岩は「心学」の祖です。商業活動の正当性を訴えました。洋学ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
本居宣長は「国学」の大成者です。「古事記伝」や「源氏物語玉の小櫛」の著者です。源氏物語の研究では「もののあはれ」を提唱しました。「わび・さび」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
二宮尊徳は、報徳仕法(勤労・倹約による事業法)で農村復興を説きました。「直耕」は、安藤昌益の思想です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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