公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.24解説

 問 題     

次は,心理学における個人の性質の形成に関する記述であるが,図中のA〜Dに当てはまる相関係数の組合せとして最も妥当なのはどれか。

心理学においては個人の性質は何によって形成されるのかという問題について,古くから遺伝か環境かといった観点から議論されてきた。近年では,この問題について,行動遺伝学の立場から研究が行われている。

行動遺伝学では,一卵性双生児と二卵性双生児のペアの性質の相関関係を比較することで,性質の分散を遺伝と環境がどの程度説明するかについて検討する。図1 及び図2 は,一卵性双生児又は二卵性双生児の場合の構造方程式モデリングによる双生児の遺伝・環境解析モデルの例である。ただし,非相加的遺伝要因はここでは無視している。

  A B C D
1. 1.0 0.5 0.5 0.5
2. 1.0 1.0 0.5 1.0
3. 1.0 1.0 1.0 0.5
4. 0.5 0.5 1.0 0.5
5. 0.5 0.5 1.0 1.0

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

相関係数とは、2つの確率変数の線形な関係をあらわす無次元の値です。A と C を比べると、「一卵性」双生児であれば「遺伝要因」は同一と考えられます。従って、一方がきまれば、他方もびしっと決まります。相関係数は 1.0 と考えられます。そして、一卵性よりは二卵性の方が、遺伝的な要因についての相関係数は低くなると考えられます。つまり、A > C です。以上より、1 or 2 です。

B と D は「共有」環境要因についてなので、同一の環境要因となります。やはり一方の共有環境要因がわかれば、もう一方もびしっと決まるような「同じものについての相関係数」なので、1.0 と考えられます。

※ 「y = 10x の関係にある x,y」 のように、一方が絶対他方の10倍とかでも、相関係数は 1.0 です。相関係数が 1.0 であれば、片方が決まるともう一方もびしっと決まる と考えて良いですが「同一の値」かはわからないことに注意!

以上より、正解は 2 です。

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