問 題
次は,認知行動療法の成立・発展の歴史に関する記述であるが,A〜Dに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。なお,文中の □ については設問の都合上伏せてある。
認知行動療法は,行動療法の系譜と認知療法の系譜が重なり合って成立したものである。「第 1 の波」は,パヴロフ(Pavlov, I. P.)が提唱したA 条件づけを臨床に応用したもので,その代表的な技法として,ウォルピ(Wolpe, J.)が開発した系統的脱感作が挙げられる。また,スキナー (Skinner, B. F.)が提唱した □ 条件づけは,先行する出来事,反応,結果の関係に焦点を当て,先行する出来事と結果を変化させることで,反応に変化をもたらすことができるという考えに基づいており, □ 条件づけを応用して開発された技法として, B がある。
次に「第 2 の波」として現れたのが認知療法の系譜である。C は,子供の頃から培われてきた判断のよりどころとなる思い込みとしてスキーマを仮定し,不合理な思い込みをスキーマとしていた場合,それが何らかの刺激によって一旦活性化されると,様々な認知の歪みや判断の誤りを引き起こすと考えた。それゆえ,この不合理な思い込みが何であるかを突き止め,適切な考え方に置き換えていくのが介入法となる。
そして,この二つの波に加えて,「第 3 の波」となる新たな動向が生じてきており,この第 3 の波には, D と呼ばれる技法が含まれている。D は,認知療法の有効性は,否定的認知の内容を変化させることよりも,むしろ自らの考え方から距離を取り,脱中心化することにあるとの考え方に基づいており,不適切な思考の変化を強調せず,非判断的で受容的な注意の配り方を習得できるよう援助するものとなっている。
解 説
A ですが
パヴロフが提唱とあるので「レスポンデント」条件づけ が入ります。「オペラント条件づけ」はスキナー型条件づけとも呼ばれます。スキナーによって提唱されました。正解は 1~3 です。
B ですが
オペラント条件づけの応用としてなので「トークン・エコノミー」が入ります。トークンエコノミー法は、トークン(代理貨幣)と呼ばれる報酬を与え、報酬が一定の量にたまったら、より具体的な報酬を与える方法のことです。正解は 1 or 2 です。これにより、C はベックとわかります。
D ですが
ACT は「認知行動療法」のことです。第3の波に含まれる技法としては「マインドフルネス」が妥当です。
以上より、正解は 1 です。
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