問 題
米国の教育学者W.H.キルパトリックに関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
1.J.H.ペスタロッチの影響を受けて,「作業(労作)教育」を構想した。子供を受動的にする従来の学校教育を「書物学校」として批判して,子供の自己活動を中心とする「作業(労作)学校」の必要性を提起し,その教育計画を「ドルトン・プラン」としてまとめた。
2.精神発達の遅れた子供に対する教育経験から,「生活による生活のための学校」を構想した。子供の「興味の中心」と「本源的欲求」に基づいて中心題目を設定し,観察,表現,発表の三段階で学習を構成することを提唱した。
3.J.デューイの影響を受けて,行動することによって学習が成立するという経験主義的な教育理論を主張し,「目的的活動」を通して学ぶという「プロジェクト・メソッド」を提唱した。
4.従来の教育は画一的であると批判し,子供の自律的な学習を中心とした教育を行うべきだと主張した。個別学習から始めて,相互学習に進み,更に進んだ個別学習を行うという学習プロセスや,教科を統合した「合科学習」を構想した。
5.矯正教育の経験に基づいて,集団主義の教育学を提唱した。児童学が子供研究から教育の方法を引き出すことを批判し,非行少年の再教育という困難な状況下にあっては,軍隊的規律による訓練を通して人格形成を行う「分団式動的教育法」が有効であると主張した。
解 説
キルパトリックは、デューイの思想の継承者の1人です。デューイの思想継承者として、代表的3人をまとめておさえておくとよいです。キルパトリックは、プロジェクト・メソッドを考案しました。パーカストは、「個」を重視するドルトン・プランを提唱しました。ウォッシュバーンのプランは、個、集団共に重視するウィネトカ・プランです。(参考 法務 H27no38)。
選択肢 1 ですが
ドルトン・プランはパーカストが考えました。ペスタロッチではありません。また、キルパトリックについての記述ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
「生活による生活のための学校」を構想したのはドクロリーです。具体的学習として「観察、連合、表現」の3段階による教育を提唱しました。キルパトリックについての記述ではありません。
選択肢 3 は妥当です。
キルパトリックのプロジェクト・メソッドについての記述です。
選択肢 4 ですが
「個別学習から始めて・・・」という部分から、キルパトリックのプロジェクト・メソッドではないと判断できるのではないでしょうか。木下竹次についての記述です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
「分団式動的教育法」は、日本の及川平治により提唱されました。キルパトリックについての記述ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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