公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.65解説

 問 題     

次は,実験ゲーム研究領域における二人対称非零和ゲームの代表である「囚人のジレンマ」事態に関する記述であるが,「囚人のジレンマ」事態を表すマトリックス中のA〜Dに当てはまるものの組合せとして妥当なのはどれか。なお,マトリックスの斜線の下側がXの,上側がYの利得の大きさを表しており,数字が大きいほど利得が大きい。

「囚人のジレンマ」とは,次のような事態である。重大な犯罪の共犯者である二人が別件で逮捕され,別々に取調べを受けている状況下で,二人には重大な犯罪について相手と協力して黙秘するか,裏切って自白するかの選択肢がある。

二人とも協力して黙秘した場合は,二人とも重大な犯罪が立件されずに別件についての短い刑期(例えば懲役3 年)のみで済む。二人とも裏切って自白した場合は,二人とも重大な犯罪が立件されて相当な刑期(例えば懲役10年)になる。一人は協力して黙秘したにもかかわらず,もう一人が裏切って自白した場合は,自白した者は司法取引として重大な犯罪については大きく減刑される(例えば懲役10 年から1 年に減刑)が,一方,黙秘した者は二人とも自白した場合よりも長い刑期(例えば懲役20 年)になる。

  A B C D
1. 10 0 20 30
2. 10 10 30 20
3. 20 0 30 10
4. 20 10 20 10
5. 30 20 10 0

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

共に協力した方が、共に裏切った時よりも利得が大きくなくてはいけません。つまり、A の方が D よりも数値が大きい必要があります。選択肢 1,2 は誤りです。

囚人のジレンマ状態になるには、共に裏切った時よりも、一方だけ裏切った時の方が損である必要があります。この制約があるから、協力しづらくなってしまうのです。表で言えば、B の利得が D の利得よりも低くなければいけません。選択肢 4,5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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