問 題
熱力学に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち下線部が妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
㋐ 氷と水蒸気では、水蒸気の方が水分子の熱運動が激しい。
㋑ 湯飲みに入れた熱い湯は、やがて熱を失って温度が下がる。この変化は可逆変化である。
㋒ 同じ質量の水と油をそれぞれ同じように加熱すると、油の温度の方が早く上昇することから、水より油の方が比熱〔J/(g・K)〕が大きいことが分かる。
1.㋐
2.㋐、㋑、㋒
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋑、㋒
正解 (1)
解 説
㋐は妥当な記述です。
固体→液体→気体 となるにつれて温度が上がっていきます。温度が上がるということを分子的に見れば、分子の運動が大きく激しくなっている、といえます。
㋑ですが
可逆変化は、「完全に元に戻せる変化」と考えればよいです。
湯飲みに入れた湯がもっていた熱は大気へと移動しますが、逆に、移動した大気の熱を湯のみの水へ移して元に戻すような「低温→高温」への熱の移動はおこせません。つまり「完全に元に戻すことはできない反応」です。したがって「可逆変化」ではありません。
このような反応を「不可逆反応」と呼びます。(大概の現実は「不可逆反応」です。覆水は盆に返らないし、なかったことにはできない ということが、熱力学的に言うと「不可逆反応」ということです。)よって、㋑は誤りです。
㋒ですが
比熱とは、ある物質の温度を上げる時にどれくらいの熱量が必要かを示す量です。
油の方が温度が早く上昇するということは、1℃上げるための熱量が、水よりも油の方が「小さい」と考えられます。よって、㋒は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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