問 題
同じ反応に対して触媒作用を及ぼし、各々に相互作用のない酵素 A、酵素 B、酵素 C がある。これらの活性に対する温度、pHの影響について、各酵素それぞれ単独で試験を行った。
基質や酵素の濃度は、基質・生成物阻害等の起こらない適切な範囲で、温度のみ又はpHのみを変えた条件で1時間反応させ生成物の濃度を測定し、酵素活性を算出した。
図Ⅰ及び図Ⅱは、それぞれ各酵素の至適pHにおける温度の影響及び、各酵素の至適温度におけるpHの影響をまとめて示したものである。これらの結果からの考察㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ただし、各酵素とも反応に補酵素等添加物は不要であり、温度、pH 以外は共通の反応系で試験した。また、各酵素とも、温度、pH の変動に対する酵素活性の応答パターンは、それぞれの至適条件でない pH、温度下においても、至適条件におけるものに相似していた。
㋐ 各酵素の至適条件下での至適温度を比較すると、酵素 C > 酵素 B > 酵素 A の順に温度が高いと考えられる。
㋑ 30℃ かつ pH 7 で 1 時間反応させたとき酵素 A と酵素 C の生成物量は同じと考えられる。
㋒ 25℃ かつ pH 6.5 の反応系中で、酵素 A を 30 分間反応させ、この反応系に酵素 B を至適濃度で追加し、温度 30℃ として更に 30 分反応を継続させると、酵素 A のみでそのまま反応を続けた場合より生成物量を増大できると考えられる。
1.㋐
2.㋐、㋑、㋒
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋑、㋒
解 説
㋐ は
図Ⅰから明らかにその通りです。正解は 1~3 です。
㋑ ですが
図Ⅱをみると確かに pH 7 において酵素 A~C の酵素活性が同じように見えます。しかし、図Ⅱはそれぞれの酵素の至適温度におけるグラフです。そして、図Ⅰより、A 及び C の至適温度は明らかに 30 ℃ではありません。従って、考察 ㋑ は妥当ではありません。正解は 1 or 3 です。
㋒ ですが
25 ℃かつ pH 6.5 というのは図Ⅰ及び図Ⅱから、酵素 A の至適温度かつ至適 pH と考えられます。従って、30 分間反応させれば、30 × 3 umol の酵素活性が期待できます。
そして、30℃というのは、図Ⅰより酵素 B の至適温度です。そこで図Ⅱにおいて pH 6.5 の所の B の酵素活性に注目すると、ほぼ活性がありません。従って、酵素 A のみでそのまま反応を「続けた方が」生成物量は多いと考えられます。
以上より、正解は 1 です。
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